経営の健全性・効率性について
当市水道事業の経営状況は、①経常収支比率に示す通り収益が費用を上回っており、類似団体の平均値よりも良好で、赤字にあたる累積欠損金も生じておりません。収益状況が良好であり、一定の内部留保も確保していることから、平成26年度に水道料金の引き下げを実施したところです。(これにより、経常収支比率が前年比△3.5ポイントとなっています。)③流動比率が平成26年度に低下しているのは、公営企業会計制度の改正に因るもので、それ以前には『資本』に分類されていた企業債(借入金)が『負債』に分類されたことで、値が低下したものです。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値の概ね半分程度となっております。これは、当市の水道施設の整備が概ね一段落し、企業債の償還に努めている時期であったためです。間もなく市政施行後50年を迎えますが、市政施行後に整備された住宅開発や合併前の旧町村を接続する水道管の更新期に入ることから、今後は企業債の発行により、老朽管渠の更新を図ってゆくことになります。⑥給水原価が類似団体の平均値を上回っているのは、自前の水源を有せず、また集落が点在しているために、配水に係るコストが割高にならざるを得ない、本市の地理的特性に起因するものです。⑧有収率が平成25年~26年度にかけて低下しているのは、豪雨災害により管渠が被災したことや、被災地域の水道料金を減免したことに因ります。
老朽化の状況について
水道管の法定耐用年数は40年とされています。当市では、昭和43年の市制施行後、水需要の急増を受け、市内全域を結ぶ水道網の整備を行ってきました。旧町村時代に整備されていた集落内の配水管については、概ね更新を完了しておりますが、集落間を繋ぐ管渠や宅地造成に伴い新設された管渠など、市政施行後に重点的に整備されてきた管渠が順次、法定耐用年数を迎えます。法定耐用年数に達したことで直ちに使用できなくなる訳ではありませんので、更新費用の平準化に考慮しながら、計画的に更新を図る予定です。
全体総括
現在のところ水道事業経営は順調ですが、人口減少が着実に進行していることから、将来の経営状況を楽観視することはできません。当市においては、長期的視野に立ち、住民生活と産業活動に欠かすことのできないライフラインである水道水の供給を未来の世代に持続的に継承してゆくために、経営効率化と健全経営の確保に今後も邁進してまいります。