経営の健全性・効率性について
当町は、木曽川右岸流域下水道計画に基づいて下水道事業を進めており、木曽川流域の市町が共同で汚水処理を行っています。それにより、維持管理に係る経費を低く抑えることができると考え、使用料を比較的低い設定としています。しかし、収益的収支比率が70%を切っていることが示すとおり、単年度ごとの収支は赤字であり、経費回収率も類似団体平均値よりも低く、汚水処理に係る経費が使用料以外の収入により賄われている状況となっています。経営の改善を図るためには、今後は適正な使用料収入の確保が必要と考えています。企業債残高対事業規模比率は、平成27年度に大きな新規起債がなかったため、経年で比率が低下し、類似団体平均を下回る結果となったと考えています。また、類似団体と比較して経費回収率が低く、汚水処理原価が高いのは、東西に長いという地理的要因により管路が長くなるために汚水処理費が高くなることによるものと考えられます。水洗化率が類似団体に比べ若干低いですが、経済的な事情などで水洗化に迷う方に助成制度を利用してもらえるよう広報や説明会でPRを行っています。今後、使用料収入を増やし、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入で賄われている状況を少しでも改善するため、更なる取り組みが必要と考えています。
老朽化の状況について
平成25、26年度においては不具合発生箇所のみ改築工事を実施しました。平成27年度は不明水対策としておこなった管路調査を基に策定した長寿命化計画の改築箇所を、支出可能な予算に応じて再検討をおこない、第1期計画を策定し平成28年度当初予算に計上しました。そのため、平成27年度の改築実績はありませんが、平成28年度から順次改築事業を実施していきます。管路の標準耐用年数は一般的に50年とされるものの、国庫補助の処分制限期間は20年であり、20年を経過した管路について不明水対策を兼ねて長寿命化を進めることにより、管路更新等費用の平準化を進めるものです。当町の管路施設はH元年からの布設とまだ耐用年数には余裕があるものの、今後の不明水対策が必要な区域を中心に長寿命化を進め、管路更新等費用の平準化を進めていきます。
全体総括
収益を一般会計からの繰り入れに依存しており、経費回収率が低く、適切な水準の使用料収入に結びついていないため、運営体制のあり方や今後の投資のあり方、使用料体系を見直す必要があります。将来の管渠の老朽化を考慮し、財源の確保のために、今後は必要に応じて経営改善の実施、投資計画の策定などが必要と考えています。経営成績や財政状態など当町の経営状況のより的確な把握をするため、平成31年度に地方公営企業法の適用を予定しています。