粟島浦村：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

平成27年度も158.36％と毎年度、総収支比率、経常収支比率とも100％を上回っているため、経営状況は比較的健全な水準にあるといえる。料金回収率については、類似団体平均（22.67%）を上回っているものの、24年度（94.05%）は料金回収率が100％を下回り、経営に必要な経費を料金で賄うことができない年度もあった。水道水1㎥を作る費用である給水原価は、コストを抑えている中で旅館等を経営している個人事業主が多く、有収量が多くなっているので、その分、給水原価を引き下げる要因となっている。施設利用率については、毎年度、類似団体平均と比較すると低い水準にある。これは、給水人口が減少していることなどによるものであり、今後、水需要動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営計画を検討する必要がある。有収率は、平成26年度及び平成27年度と類似団体平均を下回っている。これは、観光客等の給水人口に表れない流入人口が減少したことによるものと考えられる。

老朽化の状況について

簡易水道事業の管路更新投資の実施状況を示す過去5年間の管路更新率が0％となっている。これは平成19年までに石綿管から塩ビ管に更改したためである。しかし、今後、老朽化に備え、長期的な老朽化更新計画を策定し、計画的な更新を進めていく必要がある。

全体総括

粟島浦村は、現在給水人口347人で、地下水、表流水を主な水源としており、有収水量密度0.28千㎥／haで、水道事業経営指標における分類では、給水人口５千人未満（給水人口規模別区分：⑨）、水源別区分は、その他、有収水量密度は全国平均以下の類型（類型区分：ｄ９）に属する。また、水道は、１簡易水道事業を経営し、普及率は100.0％である。現時点で経営の効率性、健全性は概ね確保されているといえる。しかしながら、給水人口の減少等により、水道料金収入が減少する中で、平成24年度に料金回収率が100％を下回っている年度もあることから、更なる経費節減に努めるとともに、各指標の傾向をみる中で十分に分析し、資産維持費を含めた適正な水道料金収入の確保等対策を講じる必要がある。また、地理的特殊性があるものの、施設の効率性が低い水準にあることから、今後の人口や水需要の動向に注意しながら施設規模の見直し等の検討を行い、計画的に効率的な経営に努めていく必要がある。