経営の健全性・効率性について
本町の簡易水道事業は、山岡、高野西部及び瀬ケ野の各簡易水道並びに戸中給水施設の3簡水1給水施設で構成されており、地理的要件からこれらを統合することができないため、経常費用を圧縮することが難しい事業環境となっています。料金収入は、約1千2百万円で推移し、料金回収率が31.79%と類似団体平均値を下回っており、料金の収入不足は明らかであります。水道料金については、町内の均衡を図り、かつ適正な料金負担の観点から上水道事業と同じに設定しているため、これ以上の料金収入を見込むことはできず、不足する費用については、一般会計からの繰出金によって補っているのが現状です。企業債残高対給水収益比率は増減を繰り返しています。令和5年度においては類似団体平均を下回る比率となりましたが、本事業は耐用年数を超える施設の更新に向けて精査し実施しており、今後施設の更新事業が増加してくればおのずと比率は高まることになります。有収率については、漏水調査の実施により改善してきており、80%台後半で推移しています。また、給水原価は、水源や浄水施設の有無、地理的要件等のほか、年度ごとの修繕や施設改修工事等の実施の有無により大きく上下するため一概に比較できませんが、本町の場合、決して低い水準ではなく、料金回収率にも表れています。
老朽化の状況について
簡易水道事業開始は昭和59年4月であり、令和6年度に布設から40年を迎えます。したがって、事業開始以降、耐用年数経過による更新を行っていないので、管路更新率の表示はありません。このほか、管路以外の取水施設、浄水施設、配水池などの重要給水施設については、施設本体以外にも電気施設や機械設備などが順次更新時期を迎えており、適宜メンテナンスを行いながら、必要に応じて効率的な更新を実施していかなければなりません。
全体総括
簡易水道事業は、上水道が行き届かず、地理的に条件が悪い地域などに公衆衛生や公共福祉の向上など、収益性よりも公共性や公益性が優先されるユニバーサルサービスの一事業として位置づけられるものであり、収益的収支比率からも分かるように経営基盤が脆弱で一般会計からの繰出金などの財政支援に頼らなければ経営が成り立たない事業です。このような前提に立った事業ではありますが、収益性を全く無視するものではなく、経常経費である維持管理経費については概ね自主財源である使用料で賄い得るような取り組みが求められることは当然です。そのため有収率を向上させ、経費の抑制を図るなど、今後もソフト・ハードの両面から効率化に取り組んでいきます。