経営の健全性・効率性について
各項目について以下の通り分析し、経営の健全性・効率性について考察する。①収益的収支比率について当村42.94%<類似団体平均69.05%平成29年度以降、収益的収支比率は類似団体平均を下回っており、横ばいにて推移している。これは平成23年以降実施した施設更新等に際し借入れた簡易水道事業起債償還金の元金返済が平成29年度に開始されたことに起因する。返済元利金については令和5年度をピークに減少予定であり、徐々に比率については改善するものと思われる。②・③省略④企業債残高給水収益比率について類似団体平均1125.25%に対し、2112.07%と倍近く上回っている状況にある。企業債残高の減少により、今後比率については自然低下していく予定である。一方で給水収益については人口減少等により水準の自然改善は見込まれにくいことから、水道料金の改定についても作成済経営戦略を見直し、議論を開始する予定である。⑤料金回収率について16.48%と100%を大きく下回っており、類似団体平均と比べても低水準にある。安定した給水及び質の維持をしていく上で、安易な費用削減については難しいことから、水道料金の改定について今後議論を開始する予定である。⑥給水原価について類似団体平均403.61円に対し、当村918.88円と割高水準になっている。給水原価については地方債償還ピークを迎える令和5年度以降改善する見込みではあるが、維持管理費等の効率化等を図り、数値改善に努めていきたい。⑦施設利用率・⑧有収率について⑦当村97.59%>類似団体平均51.46%、⑧当村88.70%>類似団体平均68.58%類団体平均と比べても高水準にて推移している。但し将来、給水人口の減少も見込まれ、施設規模が給水人口・有収水量にリンクしなくなる可能性がある。今後、周辺団体との広域化等も視野に効率的経営に向けて検討を行いたい。
老朽化の状況について
管路・浄水場の更新については平成23年度から平成29年度にかけて集中的に実施したことにより、耐震性については強化されている。現在は大規模更新から維持管理強化へシフトし、運営を行っている状況である。但し、旧組合営区から引受けた給水区域については管路の開設日及び耐用年数・細やかな現況等不透明な部分も散見されており、今後の維持管理に支障を来す可能性があることから、現状把握に努めるとともに、施設及び管路の計画的更新を行いたい。
全体総括
本村は、緩速ろ過方式による自然流下での配水を行っているため、ランニングコストを最小限に止めている。一方で管路・施設の更新に伴う地方債借入れによる償還金負担が大きく、経営を圧迫している。また、特別会計については一般会計からの繰入金に依存している側面があり、運営基盤が脆弱であると言わざるを得ない。今後、水道料金等の改定による収入基盤の確立とともに、ランニングコスト・イニシャルコストの見直しや効率化を意識し、経営状況の改善に努めたい。今後も永続的に安全で安定した水道水供給を行い、住民の生活環境向上に寄与できる体制を維持したい。