経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超え、類似団体及び全国の平均を超えているが、収入には資金不足を補うために行った多額の基準外繰入れを含んでおり、更なる自主財源の確保や経費削減により、自立・安定した経営に向けた改善が必要である。③流動比率については、人口減少などに伴う使用料収入の減少及び物価上昇に起因する維持管理費の増加が影響し、さらに厳しい状況となっている。キャッシュ不足による資金ショートに細心の注意を払い、資金不足については一般会計からの基準外繰入れにより対応せざるをえない状況となっている。④企業債残高対事業規模比率は、事業開始当時の企業債償還が進み、また償還額を上回る新たな借り入れは行わないなど、減債対策を進めていることから低い水準となっている。しかし、施設の老朽化が進んでおり、今後、改築更新に伴う多額の投資が必要になると思われる。⑤⑥先述のとおり、人口減少などに伴う使用料収入の減少及び物価上昇に起因する維持管理費の増加が影響し、汚水処理原価は高騰し、経費回収率も下がっている。維持管理費は使用料収入で賄うといった原則は元より、今後の改築更新など、安定した経営のためには、使用料の改定などについて検討する必要がある。⑦⑧施設利用率及び水洗化率はともに微増しているものの、今後は人口減少や節水機器の普及に伴い施設利用率の低下が予想される。現在進めている、農業集落排水処理施設の統合や、改築更新時の適切なダウンサイジングなどにより、施設規模の適正化を図る。
老朽化の状況について
昭和60年3月の供用開始以降38年が経過し、施設の老朽化は進行している。ストックマネジメント計画に基づき、適切な改築更新などによる施設の長寿命化を進めるともに、持続可能な経営に向けて経済的かつ効率的な対策を検討する。
全体総括
令和3年度の使用料単価は約149円となっており、国が示す目標水準の150円とほぼ同額であるものの、汚水処理原価が148.69円となり経費回収率は100.35%まで下降した。汚水処理原価が前年度より約10円増加しており、現在もなお動力を中心に物価が急激に上昇しているため、今後、さらに厳しい経営状況状況に陥ることは避けられないものと思われる。持続可能な経営とするために、農業集落排水処理施設の統合をはじめとする施設規模の適正化や効率的な運営による維持管理費の削減に努めるとともに、水洗化率の向上や適切な債権管理を推進し、また、使用料改定についても具体的に検討していく。