経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、100%に至ってはいないものの高い数値を保っている。しかし、近年は低下傾向にあるため、今後も維持管理費の削減や使用料単価の定期的な見直しなど、経営改善に向けた取り組みを継続して行っていく。企業債残高対事業規模比率については、使用料単価の定期的な見直しを行っていることに加え、企業債残高のピークを越えていることもあり、類似団体と比較しても低い値を示している。今後も適切な投資を行い、経営改善を図っていく。経費回収率は年々増加傾向にあり、平成28年度決算においては100%を大きく超える結果となっている。しかしながら、平成32年度には地方公営企業法を適用し企業会計となることにより、資本費の考え方が変更となるため、移行後における減価償却費を含む使用料対象経費を見据えた使用料単価の見直しを行うなど、今後も健全経営を続けていくための努力を続けていく。汚水処理原価について、本市はポンプ場を設置する必要がなく、維持管理費が抑えられることなどから類似団体と比較しても汚水処理原価は低くなっている。今後は施設の老朽化に伴う修繕費の発生が見込まれるが、計画的な予防修繕を行い、維持管理費の削減に努める。施設利用率については、ここ数年50%に満たない数値であるが、平成28年度における晴天時最大処理水量で見ると利用率は60%を超えている。今後は面整備の進捗とともに処理水量は増加すると見込んでいるため、施設の有効利用が図られると考えている。水洗化率について、本市は類似団体平均値を超える高い水準を保っている。しかしながら、全国平均と比較すると、約2ポイント下回っているため、今後も未接続者の解消に努め、公共用水域の水質保全に努める。
老朽化の状況について
本市の下水道管渠は最も古いものでも敷設後20年程度であり、管渠の耐用年数である50年と比較しても老朽化しているとは言えない。しかし、処理場施設については、使用年数が耐用年数(概ね20年)に迫ってきており、突発的な故障等により機能不全に陥らないよう計画的な修繕を行っていく必要がある。そこで、本市においては平成30年度よりストックマネジメント計画の策定を予定しているため、計画に基づいた効率的な修繕を行っていくこととしている。
全体総括
本市の下水道事業の経営状況は、類似団体と比較しても健全な経営を行えている。しかし今後は、施設の老朽化に伴って処理施設の更新修繕のための費用が発生することが予想されるため、ストックマネジメント計画を策定し、効率的な修繕を行うことによって支出の平準化を図る必要がある。また歳入においては、使用者の節水意識の向上による使用料収入の伸び悩み等が予想されるため、今後の更新投資に充てる財源を確保するためにも定期的な使用料単価の見直しを継続して行っていくことが重要である。