経営の健全性・効率性について
下水道事業は、先行的に施設整備を行う事業であり、現在も下水道の整備・建設を進めているため、類似団体と比べて企業債残高対事業規模比率が大きい状況である。また、水洗化率は平成28年の類似団体平均値を大きく上回り向上している。経費回収率、施設利用率は類似団体に比べて低い状況となっているが、これは施設管理の中で1系統処理と2系統処理の境界水量であるためだと思われる。下水道事業は一般的に末端管渠が整備されてから水洗化されるまで相当の期間を要するが、供用開始区域内の更なる水洗化を進め、施設の利用効率を高めるとともに、有収水量の増加を図りたい。なお、一般会計との間の適正な負担区分を前提として、雨水処理に要する経費は公費(一般会計)で負担し、汚水処理に要する経費は私費(使用料)でまかなうという独立採算制の原則が適用されているので、使用料収入の確保が必要である。前回平成24年の改正から5年経過しており、政府の消費税10%導入の影響を考慮しつつ、料金改正を行っていきたい。
老朽化の状況について
汚水管渠については、施工後古いもので29年あまり経過しているが、現時点で早期に対策する必要はないと思われる。下水浄化センターにおいては、平成7年の供用開始から約20年が経過しているが、大規模改修にならないよう機械設備や電気設備の更新や修繕を実施し運用している状況である。このため、今後、耐用年数を超える機器が発生することを考慮し、施設等のストックマネジメントを踏まえた長寿命化計画の策定を進めている。
全体総括
今後、少子高齢化や節水型社会の定着により、使用水量の増加は見込みがたく、また、企業債償還金が高水準で推移することも見込まれる。このため、人口密集地域では、自治体間の事業を都道府県が行う、流域下水道処理が実施されているが、愛媛県は自治体間の事業を行っておらず、今後の課題であると考えている。それまでは、使用料の改定を行うとともに、下水道整備計画の見直しや工事の大幅な縮減などを実施し、現在実施している複数年契約の施設維持管理を特定環境保全公共下水道事業とあわせ包括的契約に見直し、維持管理経費の縮減にも努め、経費回収率、施設利用率の向上をはかり、安定的な事業運営に努める必要がある。下水道施設は、あって当たり前のものとなり、「他人事」になりつつあるので、継続的で安定したサービスを提供していくことが重要である。