経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率はH28は100%以上となっているが,これは他会計からの繰入金によるところであると考えられる。④企業債残高対事業規模比率については,過去5年300%以下となっており,類似団体と比較しても大きく下回っている。これは地方債の償還に要する資金のうち,公費で負担する割合が高いためである。⑤⑥経費回収率は70.34%と類似団体と比較しH28から下回ってしまった。汚水処理原価についてもH28は207.77円/㎥となり,H27までは類似団体より下回っていたものがH28ではほぼ同額となっており,今後経営の効率性を低下させる要因となる可能性があることから,水洗化率の向上による収入増,運転管理委託等の見直しによる経費削減を図りながら必要に応じて料金見直しも検討しなけらばならない。⑦施設利用率は44.30%となっており,類似団体と比較しても下回っている。当市では,標準活性汚泥法と回分式活性汚泥法による施設の2系列の施設を保有しているが,標準式活性汚泥法のみで処理出来る状態である。今後,施設の活用について検討していく必要がある。⑧水洗化率については94.72%となっており,類似団体指標を10ポイント以上上回っている状況である。平成24年度に新市街地整備が完了し,新築住宅が増加しているためであり,今後は既存集落の接続推進を進めていく。
老朽化の状況について
③管渠施設についてはH1に供用を開始しており,3箇所ある中継ポンプ施設のうち2箇所については,20年以上経過しているため老朽化が進んでいる。H27にポンプ場の長寿命化計画を策定し,H28より更新事業に着手したところである。標準活性汚泥法の処理場についてはH17供用開始した施設であり11年を経過したところである。水処理施設や汚泥処理施設の各種ポンプや主要機械の老朽化が目立ちはじめており,今後は管渠施設や処理施設をあわせたストックマネジメント計画の策定をし,平準化した更新計画が必要である。
全体総括
当市では,つくばエクスプレスに係る新市街地の整備に伴い,普及率・水洗化率は順調に伸び,使用料収入が増加している一方で,施設更新に係る経費が増加することが見込まれ,財政運営に大きな負担となることが予測される。運転管理の効率化や民間委託等による経費の抑制を図っていき,また接続推進活動を強化し,使用料徴収業務を適正に行い安定した収入の確保に努める。しかし将来的には計画人口が減少していくことなどから料金収入だけで賄うのは難しいことが予測され,長期的な視野にたって,農業集落排水事業との統合についての検討など,抜本的な対策を講じる必要がある。