経営の健全性・効率性について
下水道事業における経営についてですが、①の収益的収支比率を見ると、償還元金が増えているため前年度よりも比率が0.97ポイント減少しています。④の企業債残高対事業規模比率では、事業規模が下水道事業開始当初に比べ減少しており、企業債の現在高が少なくなってきていることから、前年度よりも143.7ポイント減少しています。しかし、現在もなお新規地区の整備を行っていることから、類似団体に比べ残高が高くなっています。⑤の経費回収率ですが、下水道加入者は増加傾向にありますが微増であり、経費を回収できる程の規模ではなく、償還元金の増が影響し前年度より0.65ポイント減少しています。⑥の汚水処理原価ですが、汚水処理に係る経費が増加傾向にあることから、前年度より3.96円増加しています。また、過疎地域であることや温泉地域があることで真空ポンプ場を有していることにより、類似団体に比べても大きく高く推移しています。⑦の施設利用率ですが、⑤でも述べたとおり加入者は増加傾向にありますので、前年度より0.72ポイント増加していますが、施設を十分に活用できる程接続されておらず類似団体平均に比べて大きく下回っています。⑧の水洗化率ですが、老人世帯が多いことや経済的な理由により下水道に接続できない世帯が多く、前年度に比べ0.95ポイント増加しているものの、類似団体平均から大きく下回っています。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は昭和63年度から取り組み、平成7年度から供用開始しており、現在20年余が経過していますが、他団体に比べ新しい施設であると言えます。そのため、現在のところ更新費用等は発生しておらず、老朽化はありません。しかし、設備や機器類の耐用年数は管渠等に比べ短いことから、近い将来に更新時期が単年度に集中しないよう、優先度を適切に把握し計画的な対応が必要になると考えています。
全体総括
本市の下水道事業は、地方債を活用した設備投資を進めてきていますが、現在ある施設の処理能力を十分に発揮できておりません。とりわけ、水洗化率が已然として類似団体平均に比べ低い状況や、地形的要因、過疎の状況により、自主財源による経営は厳しく、一般会計からの繰入金に依存している状況にあります。国の方針である10年概成を見据え、まだ老朽化による更新費用が発生していない状況のうちに、地方債の活用を圧縮し地方債残高を縮小させるとともに、水洗化率を向上させることが必要になってくると考えます。今後につきましては、計画を見直し過剰な設備投資を抑制するほか、接続に対する新たな支援を検討して新規加入の促進を図ることで、持続的な事業運営を推進します。