経営の健全性・効率性について
当町の水洗化率は、類似団体に比して低水準である事は否めない。供用開始以来19年経過し普及促進には努めており、震災需要が落ち着いた後も接続件数は微増傾向である。今後ともより一層の接続率向上を目指し、収益的収支比率の改善につなげたい。企業債残高対事業規模比率については、現状では類似団体に比して高水準であるが、事業計画の見直しで新たな建設を凍結することで、徐々に改善することが見込まれる。高資本費対策として一般会計からの繰入金で賄っている部分もあるが、自主的な収益力を上げるために、接続率の向上と将来的な料金の改定を視野に入れ、経営の健全性を向上させたい。近年は、経営の効率化や処理場の管理方法の見直し等により汚水処理にかかる費用を低く抑え経費回収率の改善に繋げている。接続率の向上で料金収入を得ていくが、一定期間経過後は人口減少による料金収入の減少が見込まれるため、使用料改定についての検討も進めていく必要がある。経費回収率、汚水処理原価については、H26、H27において汚水の経費とすべきものを雨水で処理していたため、今回修正し本来の数値となった。汚水のみを対象としていたH25と比較し僅かに改善している。現状の施設利用率についても徐々に改善を図ることはもちろんであるが、今後とも安定的で効率的な事業運営を続けていく為の余力とも捉えている。
老朽化の状況について
該当する指標はないが、供用開始から20年近くなり徐々に施設の老朽化もみられてきていることから、ストックマネジメント計画を策定し段階的に改修を図っていく。
全体総括
下水道事業は供用開始から20年弱であるが、現状の処理区域をもって安定的な事業運営に向けて経営の転換期にある。今後は企業会計移行に伴い新たな経営戦略を策定し中期的な収支計画のもと、処理施設の老朽化や施設の最適化への対応を進めていく。尚、更新事業を実施していく為に国の財政支援が得られる方法が必須である。歳入は高齢化、人口減少、節水器具の普及が進み、処理水量の減少による使用料収入の減収で中期的に収益的収支比率の悪化が見込まれ、又、一般会計からの繰入金に過大な期待は望めず、より一層の効率的な事業運営を図ることが必須である。接続人口が減少することを鑑み、一定期間経過後は料金改定も視野に入れていくことになる。生活に不可欠な環境インフラとして、持続可能で安定的な経営が求められるが、先行きは厳しいものがあるため、収益に繋がる共同化・広域化又は新技術の導入を積極的に検討していくこととする。