経営の健全性・効率性について
収益的収支比率について、平成29年度においては、料金収入及び費用は微減したが、地方債償還金が前年の減少幅に比べ拡大したため比率が高くなっている。企業債残高対事業規模比率については、毎年低くなっており、平成27年以降は類似団体平均を下回っている。現在は、平成32年度まで長寿命化事業を実施しており、それ以降はストックマネジメント事業に伴う新規起債が予定されているため、その償還によりこれまで同様の結果は見込まれない。経費回収率及び汚水処理原価については、類似団体の平均値に達していない。原因としては、使用料の設定が平成19年度の改定以降据え置きであること、費用の面では、地方債償還金が減少しているものの、維持管理費が横ばい状態であることが挙げられる。施設利用率について、類似団体平均及び全国平均を超えているが、30%ほどの余力がある状態である。水洗化率は類似団体平均を大きく超えている。市街地の整備が概ね終了しているため、今後は供用開始区域の大幅な拡大が見込まれない。これらの経営指標の数値改善には、水洗化率の向上、維持管理費の効率的な活用が必要と思われる。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は平成10年の事業開始から20年が経過しているが、耐用年数が50年の管渠については、老朽化対策が必要な段階に至っていない。一方で、処理場の施設・設備については経年的老朽化により処理機能の低下が認められるため、事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小限化を図り、平成27年度から平成32年度まで長寿命化事業を実施し、その後はストックマネジメント事業により施設の更新等を行っていく。
全体総括
供用開始から20年という年数は長い方ではないが、処理場施設設備については既に長寿命化事業を実施中である。それらの対策を進めながら、将来的な管渠の老朽化も見据えて事業を進めていかなければならない。具体的には以下の方策により、経費回収率、ひいては収益的収支比率の増加を図る。①長寿命化のための設備更新等における高効率機器の導入を初めとする、経費の削減による汚水処理原価の抑制②接続意識の高い地域を優先した効率的な整備と、未接続世帯への訪問等の下水道普及促進による水洗化率の向上③平成32年度からの地方公営企業法の適用により財政状況を明確にした上での、適正な使用料の検討