経営の健全性・効率性について
平成28年度単年度の収益的収支比率は、63.90%となり、前年度に比べ△1.37ポイントとなりました。企業債の償還が増加したことが大きな要因であり、今後も企業債償還金は増えることが予想され、比率は低下する傾向にあります。企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較し、低い数値ですが、企業債の増加は下水道事業だけでなく、町全体の財政状況に影響があるため、企業債残高については、今後も注視する必要があります。料金水準の適切性を示す経費回収率は、平成28年度単年度では95.97%であり、前年度に比べ△3.55ポイント下がりました。企業債の償還の増加に伴い総費用が増えたことが要因であり、類似団体平均は上回っていますが、企業債の償還は増える傾向にあり、今後も適正な使用料収入を確保できるよう取り組みます。汚水処理原価は、前年度に比べ9.11円増加しており、資本費(企業債元金と利子)の増加が主な要因です。今後は、施設の老朽化による修繕費の増加も見込まれ、汚水処理原価は増加する傾向にあります。施設利用率は類似団体よりも高く、施設処理能力にはまだ余裕がある状況と言えます。水洗化率は、過去5年間で増加傾向にあり、今後も安定的な使用料確保のためにも水洗化へのPRが必要です。
老朽化の状況について
上郡浄化センターについては、整備後17年が経過しており、長寿命化計画に基づき電気設備の計画的な改修に取りかかっています。また、管渠については、高田台分区の管渠が40年経過しており、近年マンホールポンプ等の異常運転が多いため、その影響が多い箇所から計画的な改修を行っています。今後緊急度に応じた修繕を行うとともに、引き続き定期的な点検を実施し、予防保全を重視した維持管理を実施します。
全体総括
公共下水道事業においては、下水道の早期推進のため過去に投資した企業債の残高が高い水準にあり、一般会計からの繰入金への依存が高い傾向にあります。また、長寿命化事業の実施に伴い、今後も高い数値で推移することが見込まれており、投資事業の平準化や企業債の発行抑制などに努めます。さらに今後は、人口減少により有収水量の大幅な増加も見込めないため、使用料の確保が重要になりますが、大幅な料金改定は町民への負担を増やすことになるため、見直しについては慎重に検討し、経営戦略に基づき、健全な経営に向けて、一層安定的な使用料を確保するために水洗化人口の増加を図ります。