経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業においては、昨年に比べ地方債残高は減少しているものの依然として高い水準にあり、この償還に要する経費が大きな負担となっている状況である(④企業債残高対事業規模比率)。平成28年度11月使用料(10月使用水量分)から使用料の改定を行ったことで、①収益的収支比率および⑤経費回収率が昨年に比べ改善した。しかし、①収益的収支比率は依然として100%に遠く及ばず、総収益の約半数を一般会計繰入金に依存し、地方債償還には資本費平準化債の発行が不可欠となっている。汚水処理費が昨年度より減少したことにより、⑥汚水処理原価は昨年度より減少している。しかし、類似団体に比べ高額となっているため、維持管理費削減の検討を実施し、汚水処理費の抑制を図っていく。⑦施設利用率は、約60%で推移しているが、将来、集落排水区域からの一部統合を前提としていることから、施設の規模は適当と見ている。⑧水洗化率は、汚水管の整備が概ね完了した中、接続が順調になされ昨年度よりさらに向上している。類似団体と比べ高い数値となっているが、さらなる水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
本市では、昭和58年度に公共下水道事業に着手し、平成2年度から順次供用開始し汚水管渠整備は概ね完了した。管渠の耐用年数は50年であり更新時期には至っていないため、③管渠の改善率は0%である。一方、処理場の施設や機器については、平成27・28年度において長寿命化計画に取り組み、平成29年度の3ヶ年目にはストックマネジメント計画実施設計に取り組んでいるところである。今後策定されるストックマネジメント計画を基に、施設等の計画的な改築や改修を行い、効率的な施設の維持管理に努めていく。
全体総括
経営の健全化のためには、地方債償還金の負担が最大の課題であるが、固定的に必要とされる費用であり、短期間での削減は厳しいことから、維持管理費の削減と使用料収入の増加を図る必要がある。維持管理費については、処理場の運転管理業務に包括的民間委託の導入を検討するなど、徹底的な抑制に努める。使用料は、平成28年度11月使用料(10月使用水量分)から改定を行ったことで増収が見込まれるが、今後、人口減少等による使用料収入の減少も見込まれるため、下水道への接続を促す啓発や不明水調査を実施するなど有収水量を増加させる取り組みを継続していく。また、収納等業務の民間委託により徴収率を向上させ、使用料収入の増加を図る。平成32年度に地方公営企業法を適用し、公営企業会計を導入することで、経営健全化・効率化を推進し、より一層の経営基盤の強化を図っていく。