地域において担っている役割
宮城県が策定した「地域医療構想連携プラン(以下「連携プラン」という。)」に沿って、みやぎ県南中核病院と分担、連携し、「宮城県地域医療計画」に基づいて、回復期医療、慢性期医療を担っております。令和5年度からは、地域医療ニーズにさらに応えるため、指定管理者制度による運営が決まっております。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス患者の受け入れに当たり、当院では感染拡大防止の観点から、感染症患者受け入れのために当該病棟に含まれる一般病床(全55床うち47床)について入院の制限を継続していることに加え、医師が9名退職したことでの利用率減が減収の大きな要因となっております。入院患者1人1日当たりの収益単価が平均値を下回っているのは、急性期一般病床の他に地域包括ケア病棟48床、回復リハビリテーション病棟51床も運用しているためです。前年度より単価が3,434円減少しているのは、循環器科や外科での全身麻酔を使用した手術を行なわなくなったためです。給与費対医業収益比率については、前年度より6.5ポイント改善したものの連携プラン実施による過渡期の影響のため平均値より高いものとなっております。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率ともに増加傾向にあり、類似病院と比較しても高い値となっています。多くの医療機器について耐用年数を超えて運用している状態です。建物も築20年による経年劣化もあり、今後も施設や器械の老朽化に対応するため、計画的な設備・機器の更新を行う必要があります。1床当り有形固定資産の令和3年度での急激な増加は、令和3年度では病床を262床から207床と減床したことによる影響が主たる理由です。
全体総括
連携プランに沿って、病床数の減床(262床から207床へ)、急性期医療から回復期、慢性期医療を中心とした病院機能の転換(急性期一般入院料1から2への変更、全身麻酔を使用した手術は中核病院で行ない、術後患者を引き受ける等)を実行しながら経営の安定を図ってきたが、新型コロナウイルス感染症対応のため病床制限したことで、令和3年度の経営は非常に厳しい状況となりました。これを乗り越えるため、起債や構成市町からの追加繰入による資金調達を行い、常勤職員減となった部分を、残った職員と非常勤職員でカバーしながら病院の改革をしてきました。今後については、令和5年度より指定管理者制度による運営が決まっていることから、指定管理先と共に仙南医療圏を担う拠点病院としての「新しい病院づくり」に取組みます。