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個人所得税や法人税の大幅な増収が見込めない上、離島という地理的条件から大企業の誘致も難しく、税収構造は非常に脆弱である。そのため財政力指数は類似団体を大きく下回っており、その状況に大きな変化は見られない。観光・農林水産業振興のほか、新たな産業創出も視野に入れ税収基盤の強化を図るとともに行財政改革の確実な実施により財政の健全化を図っていく。
普通交付税合併算定替えの優遇措置逓減により(令和2より一本算定)、歳入における経常一般財源が年々減少する中、地方債の新規発行抑制等の成果で類似団体内平均値と同程度の水準を維持してきた。令和2年度においては、公債費が増加に転じたことや、消費税率アップの影響などで物件費が増嵩したことで、経常支出が増加したものの、地方消費税交付金の増額や町税の増収により経常収入が増加したため、比率は0.3ポイントの改善となった。今後は、ここ数年続く大規模事業の財源とした町債の償還が始まることで、数値の悪化が見込まれる。
離島という地域特性から他自治体との社会福祉施設・環境衛生施設等の広域連携が難しく、各施設の運営コストが高くなっている。また、集落が点在しているため交通機関の維持やスクールバスの運行、ごみ収集等の行政コストがに全般的に割高になっている。令和2年度は消費税率アップの影響もあり各種施設の管理費が増加していることに加え、施設ごとの長寿命化計画策定経費などもあり、人口1人当たり人件費・物件費等決算額が増加した。物価高騰や働き方改革のほか、雇用確保の難しさなどの影響で、業務委託費が年々増加する状況があり、指標の改善は難しい状況にある。
平成16年の町村合併以降、平成21年度までは給与カットを実施していたため類似団体と比較し低い水準にあった。人員削減が計画通りに進んだこともあり、平成22年より段階的に給与カットを緩和したため、それ以降は類似団体と比較して高い水準で推移していたが、平成28年度に給与制度の総合的見直しを実施したことにより数値は大きく減少傾向にあり、類似団体との差は縮まってきている。
ごみ・し尿処理、給食センター等部分的に民間委託等の推進を図ってきたものの、離島という地理的条件の特殊性や人口減少が続いていることもあり類似団体と比較すると高い数値となっている。今後、事務事業の見直しや事務効率化、民間委託等をさらに進めつつ職員数の適正化を図っていく。なお、当該数値は地方公務員給与実態調査の前年度数値を引用したものである。
これまで、地方債の新規発行抑制等による効果で比率は年々改善傾向にあったが、平成28頃から普通建設事業費が徐々に増加してきているため、3カ年平均比率も下げ止まりから上昇に転じている。今後は大規模事業実施による新規地方債発行額の増大に伴い、さらに比率が上昇することが見込まれるが、事業計画と財政健全化のバランスをとりながら緊急度・住民ニーズを的確に把握した事業の選択により起債に大きく頼ることのない持続可能な財政運営を目指す。
令和2年度の地方債の状況は、新規借入額4,345百万円に対し、償還額は2,255百万円となっており、地方債現在高は2,090百万円増加した。これは、庁舎整備事業やジオパーク中核拠点施設整備事業に加え7月豪雨にかかる災害復旧事業に対する町債発行によるもの。比率は、昨年度と比較し19.1%上昇したが、当面は大規模事業が計画されており、さらに比率の上昇が見込まれるため、事業計画の見直しと健全な財政運営に配慮した歳出抑制のバランスを取りながら、財政運営を推進する。
退職手当組合負担金が大幅に減った(-77百万円)ことで、令和元年度と比較すると、比率は1.1%減となった。今後、行政サービスの民間委託等も検討し、人件費の抑制を図っていく。
類似団体と比較すると支出比率は低くなっているが、住民1人当たりのコストでは平均値より高い。令和2年度は消費税率アップの影響もあり各種施設の管理費が増加していることに加え、施設ごとの長寿命化計画策定経費などもあり、0.7%増加した。物価高騰や働き方改革のほか、雇用確保の難しさなどの影響で、業務委託費が年々増加する状況があり、指標の改善は難しい状況にあることから、行政サービスに係る住民負担の見直しも検討していかなければならない。
障がい者支援に係る扶助費が年々増加傾向にある。令和2年度は私立保育所運営費や児童扶養手当などが減額となり全般として0.7%の減となっているが、子育て支援に係る扶助費の減少は少子化に起因する部分もあり、手放しで歓迎できる状況にない。
町内各地域で進めている下水道整備に伴う下水道会計繰出金が増加傾向にある。供用開始後の速やかな加入接続を促進し、自主財源確保に努めるよう促していく。他の会計についても、経営努力と経費の節減等を継続していくことにより、一般会計からの繰出金の抑制を求めていく。
令和2年度は補助費等の経常一般財源880百万円のうち約6割の564百万円を隠岐広域連合への負担金が占めている。広域連合に対し歳出の抑制をお願いしているが、離島同士が共同運営する事業であるため、広域での事業展開による経費節減のメリットが出にくい。各町村の負担割合の見直しがない限り、今後も大幅な比率改善は難しい。そのほかの補助金については、多様化する行政ニーズに対応するため、住民の理解を得ながら、大胆な見直しを進めていく必要がある。
町村合併以降、地方債の新規発行を抑制してきたことにより公債費数値も着実に改善していたが、平成28頃から普通建設事業費が増加してきているため、比率は下げ止まりから上昇に転じている。ここ数年実施してきた大規模事業による新規地方債発行額の増大に伴い、さらに比率が上昇することが見込まれるが、、事業計画と財政健全化のバランスを考えた事業の選択により起債に大きく頼ることのない持続可能な財政運営を目指す。
公債費以外の項目では類似団体内平均値と比較し大幅に低い水準となっているが、これは本町が事業実施の際、地方債に依存することが多かったためその償還に係る一般財源の割合が多いことが要因と考えられる。今後も、老朽化していく施設の維持管理費の増嵩改修等により、経常収支比率が悪化することが見込まれるため、事務事業の見直しを更に進めることにより経常経費の削減に努める。
(増減理由)基金全体としては、歳計剰余金(110百万円)やふるさと応援寄付金(27百万円)など総額で171百万円を積立てたが、歳入不足の補填や、まち・ひと・しごと創生総合戦略を進めるため、648百万円を取り崩したことにより対前年476百万円の減額となった。(今後の方針)当面大規模事業が続くため、基金を取崩しながらの財政運営が続くものと見込まれるが、重点施策の着実な実行と、財政全般の健全化・効率化、それぞれのバランスを取ながら、早期に本町の本来あるべき身の丈に合った財政運営に変えていく。
(増減理由)令和2年度は歳入不足補填のため、148百万円取り崩したが、歳計剰余金110百万円を積み立てたことにより年度末残額が1,302百万円となった。(今後の方針)今後も大規模事業が続くため、基金の取崩しを継続して行う予定ではあるが、既存事業の見直しを行いながら取崩しを極力抑えていきたい。
(増減理由)令和2年度は34百万円を積立てたが、歳入不足補填に200百万円取り崩したため、基金残高は167百万円減少した。(今後の方針)今後も大規模事業のが続き、財源で多額の地方債を発行することから、繰上償還等も検討の必要がある。
(基金の使途)地域振興基金:隠岐の島町まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく重点事業に要する費用に充てる。ふるさと隠岐の島応援基金:ふるさと納税等によるふるさと寄附金を積み立て、青少年教育又は地域文化の振興に資する事業、医療又は保健・福祉の充実に資する事業、竹島の領土権の確立に資する事業、自然環境の保存・整備に資する事業等に要する費用に充てる。(増減理由)地域振興基金:総合戦略に基づく重点事業に134百万円充当したため、年度末残高は1,677百万円となった。公共施設整備基金:庁舎整備事業に137百万円充当したため、年度末残高は98百万円となった。(今後の方針)地域振興基金:総合振興計画に基づく重点事業を着実に推進するため、計画的に取り崩して活用していく。
類似団体数値61.9%と比べ、本町は57.5%と数値は若干低めではあるが、一般的な水準に比べると高い状況にある。多くの公共施設が老朽化し、今後更新を迎えることになるため、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設の適正管理に努めていく。
債務償還比率は類似団体数値554.8%に比べ、873.0%と高い。元々、離島という地理的要因から、生活に必要な施設を単独自治体で整備してきたことで、類似団体に比べ、比率が高い状況にある。その上に、ここ数年大規模事業が続いていることで、毎年、起債発行額が償還額を上回っているため更に数値が悪化している。
有形固定資産減価償却率は、施設の老朽化に伴い年々上昇している。将来負担比率は上記で述べたように大規模事業に伴う地方債発行額の増加から、地方債残高が増えている為、数値が上昇している。これから数年間は地方債発行額が償還元金の金額を上回る見通しであるため、数値も上昇する見込みである。
町村合併前の旧町村において、国の経済対策を背景に地方債に依存した社会基盤整備を行ってきた。特にH5年~H8年までは、毎年約50億円の地方債を発行したことにより地方債残高が膨らんだため、類似団体と比較すると高い比率となっている。H16年度の町村合併以降は、行財政改革の一環として繰上償還や地方債新規発行抑制に取り組んでおり、数値は改善傾向にあったが、H29年度以降大規模事業が続いているため、将来負担比率は上昇傾向、実質公債費比率とも当面は上昇していく見込みである。
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