経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率一般会計からの繰入金を優先して収益的収支に充当するようにしたため、収入が増加し比率は上昇したものの、依然として100%に満たない赤字収支となっている。今後も経営改善に向けた取り組みが必要である。●企業債残高対事業規模比率数値の把握に誤りがあり、グラフの見た目はH29に大きく伸びているが、H29の正確な数値は384.87%である。この数字は一般会計負担額が大きいため平均値と比較して低い数値となっているが、現在まだ面整備の途中であり、今後も新規の企業債発行が予想されるため、比率は増加すると想定される。比率を改善するためには、接続率を上げて料金収入の増加を図るか長期的には料金の見直しを視野に入れる必要がある。●経費回収率公営企業会計移行に伴う固定資産整理を行ったことにより経費が増加した。また、前年に比べ下水道使用料も減少したため、経費回収率としては低くなった。●汚水処理原価平均値と比較して低い数値である。引き続き経費の削減や接続率の向上に取り組み、効率的な汚水処理を目指す。●水洗化率平均値とほぼ同等の数値となっている。使用料収入の増加による収益的収支の改善や水質の保全という観点から水洗化率向上の取り組みを引き続き実施していく。
老朽化の状況について
当町では最も古い管渠でも30数年が経過した状況であり、管渠の老朽化対策に早急に取組む状況にはない。更新時期を迎えていない現在は、未普及地域の新規整備に力を入れている状況である。管渠改善率がH29に突出して伸びているように見えるが、数値の誤りであり、正確には0%である。今後、公営企業会計の適用に伴い、減価償却累計率等が算出できるようになる。更新事業に対する投資の試算を行うことにより老朽化対策への転換時期等の検討を進めていく必要があると思われる。
全体総括
当町の下水道整備計画の現状は新規整備地区を拡大している状況にある。しかし将来の収支を見通すと継続的な人口減少に比例して収益的収支は低下していくものと考えられる。新規整備地区も町の中心地から徐々に人口密度の低い地区へ移行していく状況である。また当町は今後数十年のスパンで激しい人口減少が予想されている地域であることから、長期的な視点で経営を考える必要性がある。将来老朽化に伴う更新事業も必要になることを見据えると、適切な事業規模を再検討し長期にわたる安定した経営を維持できるよう努めなければならない。公営企業会計適用後には使用料の段階的な引き上げも視野に入れつつ、町全体の汚水処理計画(公共下水道区域・農業集落排水区域・合併浄化槽区域)を総合的に見直すことも必要な状況にある。