黒石市：公共下水道

経営の健全性・効率性について

当市は、平成７年度ころからの事業拡大に係る企業債償還金の増加と一般会計繰入金の不足等により、多額の純損失が発生し累積欠損金と資金不足額が増加した。そのため経営健全化計画及び資金不足等解消計画に従い経営改善を行い、平成27年度で単年度の資金不足を解消した。しかしまだ多額の累積欠損金が残っている。各指標をみると、流動比率は現金の増により、類似団体平均には及ばないものの改善している。経費回収率・汚水処理原価については類似団体平均より良好であるが、平成30年度で一般会計からの繰出基準のうち高資本費対策経費分が終了するため、経費回収率・汚水処理原価ともに今後は悪化が予想される。今後も各年度で利益を上げつつ累積欠損金を解消を進めていくが、人口減少、老朽管の修繕・更新の増も見込まれ、厳しい財政状況が予想される。また企業債の償還は令和2年度をピークに減少する見込みであるが、資本費平準化債が減額になっていくことから今後数年間はより一層財源が厳しい状況となる。下水道使用料の計画的な見直し、下水道接続率の向上、整備計画の見直しなどといった取り組みが必要である。

老朽化の状況について

当市の下水道は平成元年度から一部供用開始しており、管渠等も法定耐用年数までには至っていない。そのため現在のところ更新は行っていないが、有形固定資産減価償却率は類似団体平均より高くなっており老朽化は徐々に進行している。近年は経年劣化による破損等があり、修繕が増加している。今後は、未整備区域の整備と並行して老朽管の更新等も必要となるため、長寿命化計画の策定等により、効率的な経営が必要である。

全体総括

平成24年度以降は経営健全化により、収支は黒字となって経常収支比率は100％を超えている。累積欠損を早期に解消していくため、今後もより良好な収支となるよう努力していきたい。ただし、今後は管渠の整備と並行し、経年劣化により破損した管渠の修繕や老朽管の更新への取り組みも迫られる。さらに企業債償還の負担も今後数年にわたって厳しい状況が続くことから、整備計画の見直しを含め、使用料の見直しや、経費節減等の対策が必要である。