経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率(%)単年度の収支について表すものである。数値は100%未満であるため、赤字である。平成28年度から雨水処理費のうち元金償還分を収益勘定繰入金から資本勘定繰入金に位置付けを見直したことにより、当該比率が低下している。④企業債残高対事業規模比率(%)使用料に対する企業債残高(一般会計負担相当分を除く)の割合を表すものである。当該グラフで平成30年度の比率が0%になっているが、正しくは「883.43%」になる。平成29年度に分流式下水道に要する経費の算定方法を見直したことにより一般会計負担相当分の金額が低下し、当該比率が上昇した。施設等の長寿命化を図りつつ、真に必要なものの更新に努める必要がある。⑤経費回収率(%)汚水処理費に対する使用料による回収割合を表すものである。平成29年度に分流式下水道に要する経費の算定方法を見直したことにより、当該比率が低下した。今後も汚水処理費用の削減とともに使用料収入の増加を図ることが必要である。⑥汚水処理原価(円)1㎥あたりの汚水処理に要した費用を表すものである。平成29年度に分流式下水道に要する経費の算定方法を見直したことにより、当該比率が上昇した。類似団体より汚水処理原価が高く、汚水処理費用の削減とともに有収水量を増加させる取組が必要である。⑦施設利用料(%)施設の処理能力に対する実際の処理水量の割合である。類似団体とほぼ同程度となっているが、人口減少による処理水量の低下を考慮していく必要がある。⑧水洗化率(%)処理区域内で実際に汚水処理を行っている人口の割合を示すものである。今後も個別訪問による接続勧奨を行い、水洗化率向上を図っていくことが必要がある。
老朽化の状況について
③管渠改善率(%)当年度に更新した管渠延長の割合を表すものである。平成27年度までに長寿命化・耐震化の両面から既存幹線管渠を調査し、概ね健全であって耐用年数も迎えていないと結果を得ている。幹線管渠の耐震対策は、平成29年度から着工しており、令和2年度を目途に全工区の工事を完了させる予定である。
全体総括
四万十市公共下水道事業についての経営の健全性・効率性及び老朽化の状況からの分析は、以上のとおりである。今後は、人口減少などによる料金収入の減が予想される。また、料金増を伴わない幹線管渠の耐震化工事など、老朽施設等への更新投資が必要になってきている。従って、これまで以上に水洗化率を向上させ、使用料収入の増加を図ることや汚水処理費用等の経常経費の削減を行うなど、収益的収支比率の向上に取組むことが必要である。令和2年度には公営企業会計化への移行・経営戦略策定を予定しており、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上等を的確に取り組んでいく必要がある。