地方独立行政法人府中市病院機構：府中市民病院

地域において担っている役割

市南部で唯一、一般病床を有しており、二次救急輪番制病院としての救急医療、へき地医療拠点病院として準無医地区への巡回診療、地域に不足する診療科として小児科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、精神科医療を提供している。市が実施する特定健診やがん検診、市国保や協会けんぽ等が実施する人間ドックなど、予防医療も積極的に行っている。地区医師会の准看護学院の実習施設として学生の受入れ、また医師、看護師や医療従事者を講師として派遣している。地域の保健所と連携し、感染疑い患者のPCR検査、感染者の入院受け入れ等、新型コロナウイルス感染症について対応を継続している。

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は、R2年度は新型コロナウイルス感染症による診療制限等により特に4・5・6月の医業収益が1億数千万円減少し、収支は約1億6千7百万円の赤字となった。②医業収支比率は、H27年度新築移転の医療機器の投資の償却が下降要因となっている。H30年度中の3名の外科常勤医師の退職から不在が継続し、また、コロナ禍の影響で医業収益が減少した。③当期未処理損失はR1年度まで無かったがR2年度に約3400万円が発生した。④病床利用率は類似病院平均を上回っている。外科入院の減少が継続したが、整形外科の手術や救急搬送入院が増加したため、病床利用率が前年度より増加した。⑤入院単価はR1年度8月以降、整形外科手術が本格稼働し増加が継続した。⑥外来単価はH27年度の新病院移転に伴い透析ベッドの増床、新規・更新した検査機器の効果により、類似病院を上回っている。また、整形外科外来での簡易手術の増加、救急科の設置による救急搬送件数の増加があった。⑦R2年度は内科常勤医師、新卒看護師、保育士を雇用し給与費が増額したため、給与費比率が増加した。⑧材料費対医業収支比率は、類似病院平均を下回っており、引き続き適正価格での購入に務める。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率②機械備品減価償却率は、H24年度にJA広島厚生連から病院事業を引き継いだが、病院施設や機械備品は貸与されていたため、初年度に新規取得した資産の減価償却費のみであった。H27年度の新病院移転に伴い取得した多額の医療機器が4～5年で償却するため、償却率は上昇傾向になる。③新病院の全体施設が市の資産であり、無償貸与されているため1床当たり有形固定資産が抑えられていることが、類似病院との違いである。

全体総括

第１期中期計画の期間（H24～H27年度）では、地方独立行政法人設立目的の一つである病院の存続という目標を達成し、H27年度には病院の建て替え、医療機器等の更新整備を終え、地域医療を持続的に確保するために必要な施設設備の基盤整備ができた。第２期中期目標の期間（H28～R1年度）では、H30年度に外科常勤医師が不在になったことが、その後の経営成績に大きく影響した。また、R1年度では新たに着任した常勤医師が4名、新卒看護師12名の採用など、事業を将来にわたって継続するための職員採用で一時的に人件費は増加したが、11年ぶりの整形外科手術の再開など、府中市民病院が有する人材及び施設設備を最大限活用することができた。第３期中期目標の期間（R2～R5年度）の初年度であるR2年度は、前年度に引き続きコロナ禍の影響があり、感染対策をしながら医療を継続させる1年であった。感染対策のため診療制限を行うなど、経営的には厳しい環境にあったが、今後も必要とされる医療を継続し,地域医療を支えつつ経営改善を図る。