岩泉町：公共下水道

経営の健全性・効率性について

収益的収支比率は前年度と比較して若干増加したがほぼ横ばいの状態であり、経費回収率については昨年度と比較し低下しており、収益的収支比率、経費回収率の双方とも依然として低い水準にある。収益的収支比率の伸びと水洗化率の伸びはほぼ同率の状態であるが、経費回収率が低下に転じた理由として、一時的な費用の増加によるものであり、来年度は前年度程度まで回復するものと推察される。経費回収率は一時的な費用を除いた場合、収益的収支比率とほぼ同率の伸びを示しているが、使用料収入で汚水処理費を賄える状況となっていないことから、収入の確保と汚水処理費の削減に努める必要がある。企業債残高対事業費規模比率は、台風第10号災害復旧事業の実施状況の影響により増減しているが、今後、施設の延命化や長寿命化のため汚水処理施設の電気・機械設備を中心とした改築・更新事業が予定されていることから、計画的な事業執行に努めていく必要がある。汚水処理原価は類似団体同様に低下傾向にあったが、一時的な費用の増加により増加に転じた。引き続き類似団体の額を目標に汚水処理費の削減と水洗化率向上による収入確保に努め、経営の健全化に努めていく。水洗化率は年々同程度の伸び率で増加しているが、類似団体と乖離しており、高齢化等により接続が困難な世帯が増加している状況にあるが、引き続き普及啓蒙を図り水洗化率の向上に努力する。

老朽化の状況について

当町の公共下水道事業は、平成11年に供用開始し、供用開始から20年を経過し、耐用年数を迎える管渠施設はないため、管渠施設は当面の間更新の必要はないが、定期的な点検調査を実施し適切な維持管理に努めていく。今後、汚水処理施設を中心にストックマネジメント計画に基づく、施設の延命化や長寿命化を電気・機械設備を中心に改築・更新事業を予定していることから、その計画に沿って施設の特性と重要度を勘案し、より効率的な投資と財源を確保し施設の更新を進めていく。

全体総括

当町の公共下水道事業は、経営の指標となる収益的収支比率や経費回収率が類似団体と比較して低い水準にあり、汚水処理費を使用料収入で賄えていななど、安定した経営を図るうえでも各種指標を向上していく必要がある。経費回収率を高めるにはこれまで以上に水洗化率の向上を図る必要があり、また受益者負担の原則に基づき、適正な維持管理のもと必要とされる収入を確保するため料金の改定等を住民の理解のもと進めていく必要がある。また、平成31年1月に総務大臣より平成31年から令和5年までの拡大集中取組期間として、地方公営企業法の適用拡大の新ロードマップが示されたところであり、当町も3万人未満の団体であり移行が必要となることから、公営企業として能率的な経営のもと持続可能な事業運営を目指していく。