地域において担っている役割
福井県の中央部に位置する丹南圏域における公的中核病院で、救急告示病院や災害拠点病院などの指定を受け、急性期医療はもとより、地域の医療機関等と連携し、回復期や慢性期医療等についても重要な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は平均を上回るものの100%をわずかに切っている。また、医業収支比率、修正医業収支比率ともに平均を上回っており、経営はほぼ健全な状態にあるといえる。しかし、病床利用率は平均を下回り、4年連続70%未満であるため、回復期機能の役割を積極的に行う必要がある。患者1人1日当たり収益については、入院は平均を上回っているが、外来は3年連続下回ったため、各診療科横断で対応できる体制を整える必要がある。職員給与費対医業収益比率は平均を下回っており、概ね適切な状態であると考えられる。また、材料費対医業収益比率は平均を上回っており、医薬品の共同購入等を行い、費用の抑制に努める必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産の減価償却率は平均を下回っており、2年連続で器械備品の減価償却率も平均を下回った。しかしながら、器機類は法定耐用年数を超えて使用しているものが数多くあり、更新費用がなかなか捻出できない状況である。今後は、財政状況を鑑みつつ、医療需要動向に合わせた設備機器の検討とともに、より計画的な更新が必要であると考える。また、器機類の整備については、今後も指定管理者と協議しながら適正に実施する。1床当たり有形固定資産は平均を大きく下回っており、投資規模は適切であると考える。
全体総括
累積欠損金比率は平均より大幅に低い水準にある。また、経常収支比率、医業収支比率、職員給与費対医業収支比率、すべてが良好な数値であり、概ね健全な経営状況といえる。しかし、令和5年度は、コロナ禍で減少した入院患者数が、未だに戻っていない状況で、病床利用率が低迷しており、深刻な問題である。今後、更なる経営の健全性・効率性を高め、施設・設備の老朽化への対応も行う一方で、財政の健全性を維持しつつ、丹南圏域の中核病院として、その役割を十分に果たせるよう努めたい。