地域において担っている役割
この地域は少子高齢化と過疎化の進む中山間地域であり、民間医療機関の立地が困難な場所であるため、地域唯一の病院として、外来診療・入院の受け入れとともに、各種健診や予防接種、救急医療体制の確保などを行い、地域医療を維持している。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:医業収益は前年と比べ大幅に減少、医業外収益もコロナ関連の補助金が減少したこともあり、赤字計上に大きく影響している。また、医業収益のうち8割以上を入院収益で占めているため、病床利用率が経営状況に大きく影響を与えている。外来収益は、地域人口の減少とともに低下しており、今年度は発熱患者の減少もあり減収となっている。②医業収支比率:類似病院の平均値よりも上回っており、入院・外来ともに安定した収益を確保している。③修正医業収支比率:医業収支比率と同様に類似病院の平均値を上回っており、安定した収益を確保している。④病床利用率:前年より2.1ポイント減少したが、全国平均や類似病院の平均と比較しても高い水準を維持しており、健全性を確保している。⑤入院患者1人1日当たり収益:一般病床では「地域包括ケア病棟入院料」を、療養病床では「療養病棟入院基本料1(投薬・検査・処置等が入院料に包括されている)」を採用しており、当院は包括算定による方式のほうが安定した収益が確保できると判断している。⑥外来患者1人1日当たり収益:各平均値を下回っているが、毎年一定の収入は確保できている。定期的に検査を実施し、収入増となるよう改善を図りたい。⑦職員給与費対医業収益比率:全国平均や類似病院の平均値を上回っており、前年に比べ大幅な増加となっている。勤続年数の長い職員が多く定期昇給により上昇していくため、若い職員を採用したいが地域柄難しい状況である。⑧材料費対医業収益比率:薬品費を中心とした費用の削減により今年度も平均値を下回っており、健全性・効率性を維持している。⑨累積欠損金比率:大幅な赤字計上となったため、20.7ポイント悪化した。少しでも黒字化出来るよう経営改善を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:各平均値を上回っている。経営状況を見ながら長寿命化を図り、計画的に設備投資を行っていきたい。②器械備品減価償却率:各平均値を上回っている。医療行為に支障をきたさぬよう必要なものを計画的に更新していきたい。③1床当たり有形固定資産:各平均値を大きく下回っていることから、健全性は確保されていると考えられる。
全体総括
当院の位置する地域は、過疎化による人口減少が進行している状況にあり、今後も外来受診者の減少が続くことが予想される。また、医療スタッフの確保も課題であり、特に医師の確保が厳しい状況にあるため、病院機能を維持していくことに大きな不安を抱えている現状がある。しかしながら、地域医療を担う病院として、他の医療機関や高齢者施設との連携を強化し、今後も質の高い医療の提供に努め、経営の効率化やコスト削減を図り収益を増加させる方策を常に考え実行しながら、経営改善に努めていく必要がある。