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コンビナートの企業から税収があるため,財政力指数は1.33と高く,類似団体の平均を大きく上回っているが,近年は横ばいの状況である。コンビナートの企業への依存度が高い当市としては,引き続き企業の動向を注視するとともに徴収の強化や手数料収入など,自主財源の確保に努める。
歳入は地方交付税等の減により,前年度から約3,300万円減ったものの,歳出ではRDFセンターの建設に係る公債費の償還が終了し,一部事務組合への負担金が減ったことなどで比率が1.6ポイント下がった。類似団体の中では一番低い状況であるが,市債残高と借入額のバランスを考慮し,今後もさらなる自主財源の確保と義務的経費の削減に努める。
類似団体と比較すると,わずかに下回る状況が続いている。人件費は,類似団体平均よりも低く,県平均を下回っているが,物件費は,類似団体の平均値を上回っている状況である。主な要因は公園やスポーツ施設等の委託料等が多いためである。また,維持補修費は,類似団体の中でも高く,県平均よりも高い状況である。公共施設の老朽化が主な要因であり,今後も修繕費が増えることが予想されるため,公共施設等総合管理計画に基づき,計画的な更新等を実施する。
国との比較において,給与制度の総合的見直しに伴う経過措置(現給保障額)や昇給日が違うことなどから,ラスパイレス指数は増減を繰り返しているものの,増減幅は年々縮小している。また,類似団体の平均と比較すると,0.1ポイント程度高い数値で推移しているのは,当市が国よりも学卒者初任給をやや高く設定していることなどが考えられる。※前年度数値を引用している。
定員管理の適正化を図る計画の目標を踏まえ職員数を増やしてはいるものの,当市人口も増加傾向であることから、人口千人当たり職員数でみると微増傾向にとどまっており,類似団体との比較では,1.8~2ポイント程度低い状況が続いている。
将来負担比率については,類似団体の平均値を下回っており,市の財政運営は健全であるといえる。市債残高抑制による地方債現在高の減や,神栖市公共施設整備基金等の積み立てにより充当可能基金が増加したため,8.4ポイント減少し,16.8%となっている。今後も,市債残高と借入額のバランスを考慮し,充当可能財源の確保に努める。
定員管理の適正化を図る計画に基づき,引き続き適正な定員管理に努め,平成29年度の職員数は前年度から6名増の552名となり,前年度比0.2ポイント増の17.5%となったが,類似団体との比較では4.7ポイント下回るなど,依然として低い状況である。今後は,市の施策や事業等を勘案し,適正な定員管理を図りながら職員の任用に努める。
物件費が類似団体平均に比べて高いのは,公園管理の民間委託,スポーツ施設等の指定管理者制度導入によるものである。前年度より1.6ポイント比率が下がっている要因としては,入札執行減による公園管理費の減や支所の移転により警備委託が減となっているためである。引き続き経費の抑制を図る。
扶助費に係る経常収支比率が類似団体平均を上回り,かつ上昇傾向にある要因として,保育施設が2か所増えたことによる利用者の増,生活保護受給世帯の増及び一人当たりの医療費が高額になったことによる増額が挙げられる。今後も扶助費の増加が見込まれるため,各種手当てなど市単独事業については見直しを進めていく必要がある。
その他に係る経常収支比率は,類似団体に比べ低い状況となっている。平成29年度は,国民健康保険事業に対する繰出金が被保険者数の減少等により減ったが,介護保険事業への繰出金は高齢者の増加に伴い給付費が増加し,繰出金が増加したため,前年度と同程度の水準となっている。
補助費等に係る経常収支比率が類似団体平均を上回っているのは,若年世帯住宅取得補助金などの市単独事業を実施しているためである。前年度から0.5ポイント比率が下がっているのは,一部事務組合分担金・広域連合共通経費(負担金)の減などによるものである。今後も補助金の目的と効果を見極め,適正な交付に努める。
市債残高の抑制により,公債費にかかる経常収支比率は,類似団体よりも低い水準となっている。今後,公共施設の老朽化に伴い,多くの財政需要が見込まれるため,市債残高と借入額のバランスを考慮しながら,公債費の縮減に努める。
公債費以外の比率については,前年度より1.6ポイント下がっており,類似団体の平均値より低い状況である。義務的経費においては,扶助費が増加していることにより,年々増加傾向である。義務的経費以外においては,物件費や補助費等が多くを占めているため,事業費の費用対効果をふまえ,経費の縮減に努める。
(増減理由)今後予測される公共施設の老朽化に係る経費のため,公共施設整備基金に約7億円積み立てし,年度間の財源調整のほか,合併算定替による特例措置の適用期間終了,景気の動向による法人税等の変動,及び今後の大規模建設事業等に備えるため,財政調整基金を約13億積み立てたこと等により,基金全体としては21億4,700万円の増となった。(今後の方針)老朽化を迎える公共施設の整備,修繕等に要する経費の財源に充てるため「公共施設整備基金」や「学校教育施設建設基金」への積立を行う。年度間の財源調整のほか,合併算定替による特例措置の適用期間終了,景気の動向による法人税等の変動,及び今後の大規模建設事業等に備え積み立てを行う。
(増減理由)かみすアリーナ運営費や水道事業の出資金,波崎東明神周辺地区住環境整備等に係る財源に充てるため,前年度比較で7億5,400万円の積み増しを行った。(今後の方針)市債残高が増加しないよう財政調整基金を取り崩すことで市債借入れの抑制を行い,残高は標準財政規模の10%から15%の範囲内となるように努める。
(増減理由)市債償還財源としていないため,預金利子のみの増加となっている。(今後の方針)現在,市債残高が増加しないよう市債借入れのバランスを考慮し,借入れを行っているため,償還額の急激な増加は想定されていないので,必要以上の積み立ては行わない。
(基金の使途)公共施設整備基金:公共施設の計画的かつ効率的な整備,修繕等に要する経費の財源に充てるため積み立てる。協働のまちづくり推進基金:市民及び行政が一体となった協働のまちづくりの推進に要する経費の財源に充てるたてる。学校教育施設建設基金:学校教育施設の建設及び大規模改修事業に要する経費の財源に充てるため積み立てる。(増減理由)公共施設整備基金:公共施設等総合管理計画等に基づき,今後見込まれる更新費用の積み立てを行っているため増加している。学校教育施設建設基金:教育施設の耐震化計画に基づき,小中学校等の耐震化を行い基金残高が減少した。(今後の方針)公共施設整備基金は,公共施設の更新費用等として不足が見込まれる年間額約6.6億円の10年分(66億円程度)を目安として積み立てる。
当市では,昭和30年代後半に始まった鹿島開発による昭和42年の工業団地の造成や,昭和44年の鹿島港開港など,大規模開発が進められ,それに歩調を合わせるように,公共施設の建設や整備を急速に進めてきた。そのため,老朽化に伴う更新を同時期に大量に迎えようとしており,類似団体平均と比較して同水準ではあるものの,県内平均に比べ有形固定資産減価償却率は高い水準にある。公共施設については,施設の更新や長寿命化,集約化あるいは新設の抑制等に向けた適切な管理が必要である。
将来負担比率は,公共施設整備基金等への積立てによる充当可能基金の増や,市債残高抑制による地方債現在高の減などにより,平成29年度は前年度比8.4ポイント減の16.8%となり,類似団体と比較して15.5ポイント低くなっている。また,有形固定資産減価償却率は,類似団体と比較して0.4ポイント高くなっている。将来的に老朽化に伴う施設更新等を同時期に大量に迎え,有形固定資産減価償却率の上昇が懸念されるため,今後も各指標の動向を注視しながら施設更新等を行い,地方債に過度に依存することなく,財源確保を含めた計画的な取り組みが必要である。
実質公債費比率は類似団体と比較して3.0ポイント低くなっており,近年は減少傾向である。また,将来負担比率は平成28年度と比較し,平成29年度は8.4ポイント減の16.8%となり,類似団体と比較して15.5ポイント低くなっている。実質公債費比率は,市債借入の抑制等により減少しており,将来負担比率は,公共施設整備基金等への積立てによる充当可能基金の増や,市債残高抑制による地方債現在高の減などにより低水準を維持している。今後も引き続き市債残高と借入額のバランスを考慮した慎重な検討を行い,充当可能財源の確保,事業実施の効率化を図り,財政の健全性を維持するよう努める。
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