経営の健全性・効率性について
収益的収支比率及び、汚水処理原価についてはR2年度より地方公営企業法の適用に伴う打切決算のため、一時的な大きな変動があります。【収益的収支比率】市全体の人口増、水洗化率向上の影響により、有収水量・使用料収入ともに増加傾向にあります。H30年度に比率が低下していますが、これはH30年度から新たに始まったストックマネジメント事業により、管渠等の点検調査にかかる費用が純増したことによる影響です。単年度の収支は黒字ではありませんが、前述のとおり使用料収入は増加しており、収益的収支比率は90%以上を維持しています。【企業債残高対事業規模比率】毎年の企業債借入額については、当該年度の投資規模と使用料収入のバランス、今後の事業推移等を把握したうえで決定しています。当該比率を類似団体と比較すると、低い水準であることがわかります。【経費回収率】汚水処理費の財源として使用料以外の収入(受益者負担金等)を計上しているため100%には至っていません。有収水量の増加に伴い使用料収入は増加傾向にあるものの、それを上回る規模で流域下水道の維持管理負担金が変動するため、経費回収率は年によって上下します。【汚水処理原価】有収水量が増加傾向にあるものの、汚水処理費中大きな割合を占める流域下水道維持管理負担金が増加しているため、汚水処理原価の低減には至っていません。大きな変動もなく安定していると言えますが、近年は減少傾向にある類似団体との差が広がっています。【水洗化率】R2年度の公共下水道整備概成へ向けてゆるやかに増加しています。H28年度は他年度と比較して大きく増加していますが、これは集計方法を見直したことによる影響であり、急激に水洗化が進んだことを示すものではありません。
老朽化の状況について
S62年に供用開始してから30年を迎え、当時敷設した管渠を中心に設備が老朽化してきています。これに対し、H26年度より管渠の改修工事(長寿命化工事)に着手しています。また、R2年度の下水道整備概成後に管渠更新に本格的にシフトしていくことを見据え、R1年度にストックマネジメント計画を策定しました。
全体総括
本市では、R元年度にストックマネジメント事業による下水道施設の更新計画の策定、R2年度に公営企業法の適用を行いました。また、同年度中に経営戦略の策定を予定しています。管渠の整備が一段落し、維持管理・更新の時代を迎えるに当たり、今以上に公営企業として高い質での財政マネジメントが求められます。経営健全化に関する指標はいずれも比較的安定していますが、より経営を健全化させるため、汚水処理費の削減が課題となります。今後、管渠の整備完了に向けて有収水量および使用料収入が停滞することが予想されます。こうした状況の中で汚水処理費を削減するため、ランニングコストの削減や使用料改定の検討など、収支両方の面で改善を進めていく必要があります。また、今後の維持管理・更新の時代において安定した経営を行うため、長期的な視点に立った事業を進めていく必要があります。そのために、ストックマネジメント計画に基づき運用を行い、計画を随時検証、更新し、維持管理・更新事業の最適化を図っていくことが必要です。これらの取り組みを通し、住民サービスの安定的供給に努めます。