経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、有収水量の減少に伴う給水収益の減少及び修繕費等維持管理費の増加等による費用の増加に対し、一般会計繰入金の協定内容を見直したことで、前年度と比較し増加していますが、健全経営の水準とされる100%を下回っています。今後は、令和4年10月に実施した料金改定による影響で経常収支比率は100%を上回る見込です。累積欠損金についても年々増加しており、平均値を大きく上回っています。流動比率については、現金預金が減少したことで100%を下回っており、企業債の償還には一般会計繰入金等を原資とする予定です。本市の水道事業は、給水区域面積が広大であり維持管理の必要な施設や管路が多いことから、給水原価が平均値よりも高い状況となっています。また、それに伴い料金回収率も平均値より低い数値となっています。有収率については、有収水量は減少していますが、漏水等により発生する無効水量が前年度に比べ大幅に減少したことで、全体の配水量が抑えられたため有収率が増加しています。今後も漏水調査を継続して実施することで、有収率の向上を図ります。
老朽化の状況について
償却対象資産の減価償却の状況を示す有形固定資産減価償却率は前年度比1.98ポイント増の42.34%、法定耐用年数を経過した管路延長の割合を示す管路経年化率は前年度比1.92ポイント増の13.99%と施設の老朽化が進んでいるのに対して、当該年度に更新した管路延長の割合を示す管路更新率は0.41%に留まっています。建設改良費の抑制を行っているため、今後も管路経年化率は増加していく見込みですが、優先度を考慮した効率的な管路の更新を実施していきます。
全体総括
本市の経営状況は、比較的に給水原価が高く料金回収率が低いことと管路の修繕費等維持管理費の増加などが要因で、恒常的に赤字が発生する状況となっており、厳しい経営状況が見込まれていました。そこで、令和4年10月に総括原価方式による料金改定の実施、同年11月には料金改定の内容を踏まえ、「士別市水道事業経営戦略」の改定を行いました。今後においては、「士別市水道事業経営戦略」に基づき、計画的かつ効率的な事業運営や経営基盤の強化を推進することで、持続可能な事業運営を確立し、安全で安心な水道水の安定的な供給の継続的な実現をめざします。