経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、100%を下回り単年度収支は赤字となりました。流動比率についても100%未満であり、短期的な支払能力が高くないため、高額の支出が重なる場合は、支払日の調整や一時借入金の借入等が必要となることを示しています。企業債残高対事業規模比率については、建設当初に借り入れた企業債の償還が終了しつつあるため減少傾向でしたが、第3号公共下水道の整備開始に伴い、今後は増加に転じる見込みです。経費回収率については、前年度と比較するとやや改善したものの、100%を下回っており、汚水処理に係る経費を使用料で賄えていないことを表しています。汚水処理原価については、地理的制約により処理場が二つあること、ポンプ場の数が多いことから高い水準となっています。また、当町は観光を基幹産業としているため、将来的な観光客の増加に対応できるよう、施設に余裕を持たせているため、施設利用率は50%前後で推移しています。水洗化率については、住民人口で算出されるため、当町に多く設置されているホテル、保養所、別荘等の数値が反映されておらず、全国平均及び類似団体平均値よりも低くなっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、平成30年度に地方公営企業会計へ移行したため、減価償却費の累積が少なく、低い水準となっています。管渠老朽化率については、法定耐用年数に達した管渠がないため、ゼロとなっています。令和3年度は、マンホール蓋の更新や路面復旧工事を主に実施したため、管渠改善率がゼロとなりましたが、引き続きストックマネジメント計画に基づき、効率的に下水道施設の更新を実施してまいります。
全体総括
令和3年度は、入込観光客の復調に伴い、下水道使用料収入も前年比増となりましたが、処理場改築工事による固定資産除却費も増となり、経常収支は赤字となりました。令和4年度以降も、燃料費の高騰による維持管理費の増により、下水道使用料に基づく経営は厳しい状況が続く見込みです。持続可能な事業経営のため、計画的な改築更新を実施するとともに、適正な使用料単価について検討を行い、経営の健全化を図ってまいります。