経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率概ね6割程度の水準となっているが、今後、改築更新等の費用が増加する見込みであることから、更新投資等に充てる財源の確保等を含め経営改善を図る必要があると考えられる。④企業債残高対事業規模比率類似団体平均値と比較して、高い水準となっているが、これは当市がこれまでに農業集落排水の整備を積極的に実施してきたため、企業債残高が多くなっていること、使用料水準が類似団体よりも低いことが理由と考えられる。年々債務残高は減少傾向にあるが、今後改築更新等の費用が増加する見込みであることから、債務残高は増加すると考えられる。そのため、定期的な料金設定の見直しを実施し、適正な使用料水準の確保が必要であると考えられる。⑤経費回収率令和元年度は、経営戦略の策定に係る経費等が増加したことにより減少している。平成30年度以前から汚水処理に係る費用を使用料で賄えておらず、使用料収入も大きな増減もない状況である。維持管理費用の支出が、類似団体平均値よりも低い水準となっていることから、今後改築更新等が見込まれ、汚水処理費の増加が予想されるため、更新費用等に充てる財源を確保しつつ、適正な使用料水準の確保が必要であると考えられる。なお、平成28年度以降の経費回収率が上昇している理由は、分流式下水道等に要する経費について、統一された算出方法に変更し、計上したことによるものである。⑥汚水処理原価令和元年度は、経営戦略の策定に係る経費等が増加したことにより増加している。類似団体平均値と同水準にあるが、今後改築更新等が見込まれることから、汚水処理費の増加が予想されるため、水洗化率を向上させ有収水量を増加させる取組が必要であると考える。なお、平成28年度以降の汚水処理原価が減少している理由は、分流式下水道等に要する経費について、統一された算出方法に変更し、計上したことによるものである。⑦施設利用率類似団体平均値よりも高いものの、今後、さらに水洗化率を向上させることにより、効率的な利用が図られると考えられる。⑧水洗化率類似団体平均値と概ね同水準である。今後も水洗化率の向上に努め、使用料収入の増加を図る必要があると考えられる。
老朽化の状況について
当市における老朽化の状況については、法定耐用年数を超えた管渠がないことから、管渠老朽化率及び管渠改善率は数値化されていない。しかし、今後、法定耐用年数に到達する管渠があることから、改築等の財源の確保や経営に与える影響等を踏まえて、経営改善の実施や投資計画等の見直しを行う必要がある。
全体総括
現状では、基準外繰入金を受け入れることにより不足額を補填している状況にあり、今後、更なる維持管理費の増加が見込まれ、基準外繰入金も増加する見込みである。こうした中、営業収益増加のため水洗化率の向上、経費節減に取り組む必要がある。中長期的な視点での経営計画がないことから、今後の事業経営にあたっては、施設の経年劣化に対応した更新費用も見据え、投資採算性を踏まえた収支を基に、長期経営計画を策定し、事業運営を行うことが必要である。