経営の健全性・効率性について
本事業は、平成14年度で2処理区の整備が完了し、平成27年度までは維持管理運営のみとなっていたが、平成28年度より機能強化事業を行い、施設や管路の設備、機器の更新を実施している。平成28年度から令和元年度までは、上地高柳地区の機能強化事業を実施し維持管理費の抑制を図った。令和2年度より簑原地区の機能強化事業を実施している。設備・機器の老朽化による修理や更新が維持管理費を増大させているが、この事業で機器・設備の機能強化を行い抑制を図る。令和5年度は中継ポンプ施設の更新を行った。①収益的収支率について加入者の減に伴い、総収益は使用料の減により減少となったが、総支出では令和6年4月から公営企業会計への移行に伴う打切決算による減のため、収益的収支率は増加となった。今後は公営企業として収支比率の動向について注視し、経営安定化に向けて加入促進などの対策を講じる必要がある。⑤経費回収率について令和5年度は、前述の公営企業会計への移行に伴う打切決算により、汚水処理費が減少しており、経費回収率が増加しているものの、100%を大きく下回っている。今後は経営状況や適正な使用料を加入者に示す事ができ、経費回収率改善に向けて対策に取り組んでいく。⑥汚水処理原価について前述の公営企業会計への移行に伴う打切決算により汚水処理費が減少しているが、年間有収水量は増加しているため、汚水処理原価は減少している。今後についても、類似団体の平均を下回る水準で推移していく。⑦施設使用率について令和5年度は処理水量が増加したため施設利用率が増加している。今後は大きな改善要因はないため、横ばいもしくはゆるやかな下降線で推移する見込である。⑧水洗化率について処理区域内の人口の減により、増加となった。類似団体平均値を超える値となっている。
老朽化の状況について
本町の農業集落排水施設は、上地・高柳地区と簑原地区の2箇所である。上地・高柳地区は平成10年に供用を開始し26年目を迎える。ポンプ類や施設の老朽化に伴い、平成26年度より補助事業である『機能強化事業』の採択を受け、機能診断をおこない、平成28年度より施設の更新を計画的に実施し、長寿命化を図った。また、簑原地区は平成14年に供用を開始し22年目を迎える。令和2年度に採択を受け、令和2年度から令和6年度の5ヵ年で事業を実施する。令和5年度は機能強化事業により中継ポンプ施設の更新を行い、長寿命化を図った。
全体総括
本事業の経営は令和5年度には類似団体を僅かに上回ってはいるが、安定しておらず厳しい状況である。今後、使用料の増加は横ばい状態が続く事が想定されるので、経費の削減に努める事や使用料以外の収入の検討も必要である。料金改定を検討する必要があるものの、公共下水道や市町型浄化槽を整備している中で、本事業のみの値上げは現在のところ困難である。今後、令和6年4月から公営企業会計へ移行する予定であり、それにより使用者へ経営状況や適正な使用料を示す事ができ、使用料の改定に向けた取り組みを行っていく。また、維持管理費の削減による経営安定化を図るために、集落排水事業を公共下水道へ編入を検討する。