経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を上回っており単年度収支は黒字となっているが、経費回収率が100%を下回っていることから、一般会計からの繰入金に依存している状況であり、これを解消するため現在使用料の適正化について検討を進めている。②累積欠損金比率は0%。累積欠損金は発生していない。③流動比率は、100%を大きく下回り、類似団体平均や全国平均も大きく下回っている。経営戦略の中で投資財政計画を見直したものの、順調であるとは言い難く、今後も内部留保資金の確保に努めていく。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均や全国平均を大きく上回っている。これは公共下水道事業が整備途中であり、企業債を発行していることや使用料収入が低いことによる。今後、管渠整備を適正に進めつつ使用料の適正化について検討を進めていく。⑤経費回収率は、81.21%と100%を下回っている。資本費の負担が重く、短期的にこれを改善する方法がないため当面この水準が継続する見込みであることと、維持管理費における流域下水道の維持管理負担金の負担が大きいことから現状で経費回収率100%を目指すことは困難である。引き続き使用料の適正化について検討を進めていく。⑥汚水処理原価は、類似団体平均を下回っているが、全国平均を上回っている。汚水処理費にかかる固定費用(資本費)、流域下水道の維持管理負担金の割合が非常に高く、削減が非常に困難な費用であるため、当面同程度の水準で推移する見込み。引き続き、不明水対策など費用削減に努める。⑦施設利用率は、類似団体・全国平均を下回っているが、下水道事業が整備途中であり、整備が進捗すれば率は上昇する。⑧水洗化率は、類似団体平均を上回っている。今後も100%の実現を目指し、広報誌の活用等を通して接続への普及活動を続けていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均、全国平均を大きく下回っている。これは平成31年度から地方公営企業法を適用した際、平成30年度までの償却累計額相当分を資産価額から差し引き、資産を新たに取得したと見なして帳簿価額を決定していることから、当面低い水準ではあるものの、年数ごとに数値が上昇する見込みとなっている。②管渠老朽化率は、類似団体平均、全国平均を上回っている。本市下水道事業は現在も管渠布設を進めているものの、耐用年数を迎える管渠延長の方が大きいため数字が改善しない。これらの更新工事は今後ストックマネジメント計画に基づき計画的に管渠の更新工事を実施し老朽化率を下げる必要がある。③管渠改善率は、類似団体の平均を下回っている。本市下水道事業は現在も管渠整備を進めている最中であり、、新設管渠の延長に対し、耐用年数を超えた管渠の更新が進んでいない状況であることがわかる。ストックマネジメント計画に基づき計画的に管渠の更新工事を実施していく必要がある。
全体総括
単年度収支は黒字となっているが、経常収支比率や経費回収率などから分析すると、使用料収入の不足分を一般会計からの繰入金で賄っている状況である。また、法適用後日も浅く、現金などの内部留保が少ない状況である。これらを踏まえ、令和2年度に策定した経営戦略に基づき、適正な下水道使用料を設定し、計画的かつ効率的な投資を行い、健全で安定した下水道事業の運営に努める。