経営の健全性・効率性について
本町の水道料金は全国平均とほぼ同水準であるが、①経常収支比率は100%以上となっているものの全国及び類似団体平均値を下回っている。また、③流動比率においては、100%以上であり1年以内の償還財源の確保はできている。資産の減少よりも負債の減少が大きく12.54pt増加したが、全国及び類似団体平均値を下回っており、④企業債残高対給水収益比率においては、平均値及び類似団体平均値と比較すると、年々目減りはしてきているものの企業債残高は依然過大であり、将来世代への負担が重くなっている。建設改良事業財源については、企業債以外の国庫補助等の財源の更なる活用を実施する必要がある。⑤料金回収率は、一般家庭の使用水量減少により、前年度と比べて6.29pt減少して、100%を下回ったものの、類似団体平均値を若干上回っている。また、⑥給水原価においては、総費用の増加と有水水量の減少により12.07円増加し、全国平均値と類似団体平均値の中間あたりとなった。②累積欠損金比率においては、累積欠損金は発生していないことから健全な経営状況にあるといえる。⑦施設利用率は類似団体平均値より高いこと⑧有収率においても、類似団体平均値を上回っていることから効率的な施設利用ができており、収益につながる施設活用ができていると考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、前年度より1.84pt増加しているが②管路経年化率とともに、平均値を下回っており、他団体と比較して施設や管路の老朽化は進んでいない。③管路更新率においては、前年度より下回っており、管路の更新ペースは類似団体を下回っている。これらの指標により、本町の水道施設・管路等の状況は、老朽化が徐々に進んでおり、更新ペースを上げる必要があるといえる。また本町では中長期的な事業計画を策定した「岩美町水道事業経営戦略」に基づき、老朽化の著しい水道施設から国庫補助等を活用した管路等施設の耐震化、基幹水道構造物の耐震化を順次進めているところである。この耐震化推進事業により更なる有収率の向上、管路更新率の向上を目指したい。
全体総括
本町の水道料金は全国平均とほぼ同水準であり、経常収支比率は100%以上で、経営に必要な経費を水道料金等でほぼ賄うことができている状況にあるといえる。しかし、人口減少、節水型機器の普及等により給水収益は今後も減少傾向にあると予測されるので、令和元年度に策定した「岩美町水道事業経営戦略」により、徹底した効率化、経営基盤強化と財政マネジメントの向上を図っていく必要がある。なお、今後とも料金の収納強化を図り、確実に料金収入を確保していく必要がある。災害時に備えた管路及び構造物の耐震化等、今後も老朽化した施設の更新は必要となっていくが、これ以上企業債残高が過大となると将来世代への負担も増大となる。国庫補助金の充実を国に要望するとともに、あらゆる財源を活用し、企業債の借入れを抑制し中長期的に経営改善を図りたい。