経営の健全性・効率性について
町内に農集排処理区域を6地区抱えているが、農業集落排水の公共下水道への統合計画を実行し、施設集約による処理原価の低減・施設の有効活用を図っているところである。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均に比べ高く、過年度の起債償還が依然として高いレベルとなっている。償還に当たっては、一般会計繰入金に頼るところが大きい。公共下水道との統合に伴い施設維持管理費の改修費用が増加したため、汚水処理原価が上昇した。これまでと同じく、徒に収入の不足を繰入れに頼ること無く厳格に繰入基準に則って運営を行う。また、維持管理の総合一括管理委託による運転管理を通じて汚水処理原価の一層の抑制を目指す。経費回収率は、類似団体とほぼ同程度で推移しているが、今後統合に伴い処理地区が減ると、スケールメリットが縮小し維持管理費が増加して回収率が下がる可能性はある。施設利用率をみると、約50%で能力に余裕があるが、水洗化率は横ばいで急激な改善は見込みにくい。なお、令和元年度において水洗化率が上昇しているが、水洗化率の低い地区が公共下水道へ統合され農集排から外れことが原因であり、残された地区の水洗化状況に変化はない。
老朽化の状況について
最も早期に事業着手した処理区が供用開始して23年余りが経過しているが、管路の耐用年数から施設の更新には未着手である。今後は圧送管の出口など特に腐食の恐れのある箇所について定期的な確認を行い、状況の把握に努める。処理施設及びマンホールポンプ施設については、維持管理の中でコストと修繕による機能維持とのバランスを図ってきた。今後は固定資産調査を通じ各資産の老朽化・重要度を把握し、年次的な更新計画と収支計画の整合により、適正な処理を保ちつつ安定した経営を目指していく。
全体総括
平成8年2月に供用を開始して以来23年余が経過し機械、電気等資産の更新期が近づくと共に、人口減少や土地利用状況等の変化により計画を立案した当初から社会情勢も変化している。下水道事業は、日々の汚水処理を通じ公共水域の水質を保全し住民の生活環境を守るために欠くことのできない重要なサービスを担っており、将来にわたり安定的にサービスの提供が継続されなければならない。これらに対処するため、資産の集約・規模の縮小も含めた事業の見直しを進める。まずは農業集落排水事業の公共下水道事業への統合を進めていく。また、策定した「高森町下水道事業経営戦略」により、将来にわたる収入と支出の均衡を保ちつつ計画的な改築更新を進め、安定したサービスの提供、事業の継続に努めていく。