経営の健全性・効率性について
令和元年度に公営企業会計に移行し、3回目となる決算においても、一定の純利益を確保し、経常収支比率は100%以上、累積欠損金比率は0となっている。一方で、これまで施設整備の財源として借入を行った企業債の残高が多額にのぼることから、企業債残高対事業規模比率は類似団体に比べ高く、また、流動負債となる次年度の企業債元金償還予定額が多額となることから、流動比率は類似団体に比べ低くなっている。施設利用率については、台風等の大雨時に流入水量が増加した場合の放流水の水質を保全するため、現状で適正であると考えているが、誤接続による雨水や地下水の汚水管への流入を防ぐために、今後も不明水の調査及び対策を行っていく。水洗化率については、令和3年度より類似団体に比べ高くなったが、引き続き未接続の家庭等へ啓発活動等を実施し水洗化率の向上を図っていく。なお、令和3年度の条例改正に基づき、令和4年10月分から下水道使用料の改定を行っており、今後においても経営基盤の強化を進め、持続可能な公共下水道事業の経営に取り組んでいく。
老朽化の状況について
公営企業会計の移行にあたり、減価償却累計額はゼロから始まっていることから、有形固定資産減価償却率は低い数値となっている。ただし、実施設である下水処理場と雨水ポンプ場は、供用開始後、一定の年数が経過し、経年劣化がみられることから、ストックマネジメント計画を策定し、優先順位をつけて改築工事を実施している。管渠は、供用開始後、50年経過していないため、管渠老朽化率が0となっているが、近い将来、老朽管が発生することが見込まれることから、管渠を調査し、改築工事の検討を行っている。今後においては、ストックマネジメント計画に基づき、下水道施設の改築・更新を効率的に行っていきたい。
全体総括
昭和35年度に着手した本市の下水道事業は、現在、未普及地域の解消に向けて事業に取組んでいるが、人口減少等に伴う使用料収入の減少が懸念される中、これまで整備を進めてきた施設の老朽化に対する改築更新需要の増大が見込まれている。さらには、施設の耐震化といった災害対策も求められており、下水道事業に係る経営環境はこれまで以上に厳しさを増すことが予想される。このような中、令和2年度に経営戦略を策定し、令和3年度の条例改正に基づき、令和4年10月分から下水道使用料の改定を行っており、今後においても経営基盤の強化を進め、持続可能な公共下水道事業の経営に取り組んでいく。