経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を上回ってはいるものの、経費回収率が100%をわずかに下回っていることから、汚水処理費を使用料収入だけでは賄えておらず、一般会計からの繰入金に頼っている状況である。しかし、汚水処理原価については、類似団体平均値を下回っていることから、比較的効率的に汚水処理を実施できてはいるものの、経費回収のために適正な水準への使用料の見直しを、令和3年度に行った。企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均よりも低く抑えられているが、依然として使用料収入に対して高い水準となっている。今後、新浄化センターの建設に伴う企業債の発行により、この比率は高い水準を維持するものと見込まれる。施設利用率は約60%であり類似団体平均値をわずかに下回ってはいるが、処理区域内人口に対して過大となっている浄化センターの処理能力については、異常降雨時に合流区域から流入する初期降雨を受け入れる一時貯留地としても利用している。現在建設中の新浄化センターについては、処理区域内人口の実情に合わせて現浄化センターよりもダウンサイジングし、処理能力の適正化を図っている。水洗化率は、3ヵ年(令和元年度~令和3年度)の水洗化促進活動計画の推進により、類似団体平均値を上回っており、また前年度より向上することもできた。今後も継続的に下水道への接続をお願いし、水洗化率の向上に努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が類似団体平均よりも大きく下回る要因については、令和2年度より地方公営企業法の一部適用となる際に、各固定資産の取得価格を、その時点での残存価格で計上したことによるものであり、実際には、法定耐用年数を越えた施設が存在している。また、類似団体平均を上回っている管渠老朽化率の改善のために、管渠更新等の必要性が高い。そのような状況から、令和2年度にはストックマネジメント計画を策定しており、計画的な改築・更新により、老朽化率の改善を図る。ポンプ場についても、計画に基づき改築・更新に努めていく。浄化センターについては、平成25年度策定の長寿命化計画に基づき、新浄化センターの建設を進めているところである。
全体総括
本市の下水道事業においては、令和2年度から地方公営企業会計を導入したことにより、経営状況の可視化を図っている。経営状況は、経常収支比率が100%を上回ってはいるものの、一般会計からの繰り入れによる部分は大きく、一方で人口減少により大幅な使用料収入の増加が見込めない中、新浄化センターの建設に伴う企業債の発行が、今後増加することとなる。そのことを踏まえ、令和3年度には、今後の経営の安定化を図りつつ、持続的なサービス提供を実現するために適正な使用料への見直し作業を行い、令和4年7月に使用料の改正を実施した。老朽管渠等の改築・更新については、令和2年度に策定したストックマネジメント計画に基づき、改築・更新を進めていく。