経営の健全性・効率性について
①経常収支比率過去5年間、いずれも100%を上回っており、平成30年度以降は類似団体平均を上回っている状況である。令和3年度は前年度より減少している。主な要因は使用料収入の減少によるものである。②累積欠損金比率東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の影響により、本市の累積欠損金は大きく増加したが、平成26年度以降は毎年純利益を計上しており、未処理欠損金は着実に減少し、令和3年度では利益剰余金の計上に転じている。③流動比率過去5年間100%を超えており、いずれも類似団体平均を大きく上回っており、短期的な債務に対する支払能力を有している状況である。⑤⑥経費回収率、汚水処理原価過去5年間、90%台後半を推移しており、いずれも類似団体平均を上回っている。しかし、汚水処理原価が前年度よりも上昇していることから、今後の推移を注視していく必要がある。⑧水洗化率類似団体平均は下回るものの、過去5年間の状況から、管渠整備による処理区域内人口の増加傾向を確認することができる。今後は、管渠整備にかかる費用対効果を検証しながら水洗化率の向上を図っていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率法定耐用年数に近い資産が多いため類似団体平均値より高い状況である。これは、供用開始の早い原町区において老朽化した管渠が多いことに起因している。今後も、経常収支比率に注視しながら、必要に応じて経営改善や投資計画の見直しを行っていく必要がある。②管渠老朽化率管渠老朽化率は年々増加傾向にあるが、長寿命化計画に基づいて優先順位の高い区域から段階的に管渠更生工事等を行っている状況である。③管渠改善率現況調査を行いながら最適な更新を進めており、今後も継続して適切な維持管理に努めていく必要がある。
全体総括
本市の公共下水道事業は、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の影響により、一時的に財政状況が悪化したが、平成26年度以降は毎年純利益を計上しており、経営状況は回復の傾向を示している。しかし、近年、施設の老朽化に伴う維持管理費が増加していることから、長寿命化計画に基づいた管渠及び施設の更新が必要となっている。また、今後、人口減少に伴う使用料収入の減少が見込まれることや、物価高騰等の影響により更なる維持管理費の増加も見込まれることから、現行使用料体系の妥当性や改定の必要性を検証していく必要がある。併せて、平成28年度に策定した経営戦略についても、実状と乖離している傾向がみられることから、現行使用料体系の検証結果を踏まえた上で改定し、中長期的な財政計画に基づき健全経営を維持していく必要がある。