経営の健全性・効率性について
①及び②は消費税の更正の請求を行ったことにより特別利益が発生し、財政部局と調整の結果、前年度と比較し一般会計からの繰入金を減額したことで経常収支比率は減少したものの、100%を上回り、また純利益を計上したことで累積欠損金を解消することができた。しかし、一般会計繰入金に依存した経営状態にあるため、より一層の経営努力が必要である。③は現預金が少なく、また多額の企業債残高を抱えていることにより類似団体と比較し低値を示しているが、企業債の償還財源は基準内繰入金等により一定確保されている状態である。また、償還額はこの先10年でピークを迎えることから、しばらく現在の水準が続く見込みである。④は事業開始から短期間で多額の企業債の借入れを行っており、類似団体平均や全国平均を大幅に上回っている。このうち1割程度は雨水事業分であり、公費による財源確保がなされている。毎年の借入額が償還額を下回っており企業債残高は減少傾向にある為、改善される見込みである。⑤及び⑥は前年度と同水準であるが、処理人口の減少などに伴い使用料収入が減少したことにより、経費回収率は微減、また、有収水量も減少したことにより、汚水処理原価は微増となった。経費回収率は100%に達しておらず、今後も基準内繰入の効果的な活用と継続的な経費削減に努めることにより汚水処理費の上昇を防ぎ、適正な水準を確保する。⑧は他団体と比較して高い水準にあり、微増傾向である。未整備地区の面整備も順次進めており、今後も引き続き公共下水道への接続の普及啓発に努める。
老朽化の状況について
法定耐用年数を経過した管渠はないが、昭和63年の供用開始から35年が経過しており、今後の更新時期に備え、管渠の老朽化状況の把握、更新または長寿命化等の効率・効果的な方策を検討し、費用の削減(抑制)に努める。
全体総括
多くの指標において前年度と同水準を示す中、累積欠損金比率については累積欠損金が解消したことにより改善がみられたが、資金繰りに苦慮している状況は変わらず、現状の使用料単価では今後見込まれている未整備地区の面整備や管路等資産の更新に要する事業費の確保が厳しい状況である。また、一般会計からの基準外繰入金にも依存した経営状態であり、町財政の負担軽減や公共下水道事業の安定的な経営を持続させる為には、引き続き経費削減や収入増加に向けての対策が必要である。