経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超え、類似団体平均値、全国平均ともに上回った。これは、令和2年10月に行う予定であった使用料改定を、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み令和3年10月に延期したことに伴う減収分を一般会計からの繰入金によって補ったことと、令和3年度10月の改定以降の使用料収入が増加したことにより比率が改善した結果である。②累積欠損金は発生していない。③流動比率は、類似団体平均値、全国平均ともに下回っており、支払い能力の資金確保のため、使用料改定を令和3年度10月に行った。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値、全国平均を上回っているが、今後、企業債残高は減少していく見込みである。⑤経費回収率は、100%を超え、類似団体平均値、全国平均ともに上回っており、汚水処理費は使用料で賄うことができている状況である。⑥汚水処理原価は、類似団体平均値、全国平均ともに下回っているが、引き続き、汚水処理費の削減に努めていく。⑦施設利用率は、全国平均を上回っているが、類似団体平均値を下回っており、今後の汚水処理人口の減少等をふまえ、近隣施設との統廃合等を検討する必要がある。⑧水洗化率は、おおむね類似団体平均値、全国平均と同水準であるが、供用開始区域の拡大にあわせ、引き続き接続指導を行っていく必要がある。
老朽化の状況について
管渠施設は、現時点で耐用年数の50年を経過した施設は無く、主だった更新や老朽化対策は実施していないが、新規拡張工事とのバランスを考慮し、更新時期到来に向け老朽化対策を検討する必要がある。処理場については、昭和58年の供用開始から38め、機械、電気設備を中心に更新や修繕が必要であるが、費用の平準化を図りながら適切な維持管理をしていく必要がある。今後、ストックマネジメント計画に基づき、計画的な設備の更新を行っていく予定である。耐用年数を経過する前に、事前に管渠内の点検を行い、状況に即して長寿命化を検討する等、適切な時期に適切な更新を実施するよう対応していく必要がある。
全体総括
累積欠損金がなく、経常収支比率、経費回収率とともに100%を超えており、汚水処理に必要な経費を使用料で賄うことができている経営状況である。整備区域の拡張等により、企業債の借入額が増加しているため、今後の企業債償還の負担が懸念される。今後も、資産状況や損益等の経営データを元に、使用料や企業債等の収入と、建設や維持管理等の費用との収支バランスを注視しながら、安定的で持続可能な事業運営を行い、経営の健全性を確保していく必要がある。