経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業の経営は、単年度の収支では、健全性・効率性については適正に維持できています。①経常収支比率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の低下により、下水道使用料が減少し、前年度から3.93ポイント減となっていますが、健全経営の水準である100%を上回っています。③流動比率は、流動負債に占める「建設改良費に充てられた企業債の金額」の割合が約77%となっています。過去の多額の建設投資による企業債償還金のピークは過ぎており、前年度より3.89ポイント上昇しています。④企業債残高対事業規模比率は、関西国際空港の開港に合わせて、多額の事業投資による企業債を発行してきましたが、食品コンビナートやりんくうタウン内などに使用料単価の高い大口事業者所が多数存在するため、下水道使用料が多く、類似団体平均値より低くなっています。⑤経費回収率は100%を超えており、汚水処理に要した経費を下水道使用料で賄えている良好な状況にあります。⑥汚水処理原価が平均値より高くなっているのは、過去の多額の資本投資に対する減価償却費の負担が大きいことによるものです。⑧水洗化率は、類似団体平均値より低くなっていますが、今後は未接続世帯への戸別訪問による水洗化勧奨を行い、水洗化の向上を図っていく予定です。
老朽化の状況について
①下水道事業開始が遅かったことなどから、令和3年度末の下水道普及率は42.6%と低く、有形固定資産償却率は低い数値となっていますが、前年度比3.53ポイント増となっています。③管渠改善率は、老朽化した下水道管渠はほとんどなく、管渠の更新延長は微小となっています。
全体総括
新型コロナウイルス感染症による経済活動の低下を受け、下水道使用料は減収となっているものの、使用料の高い大口事業所が多いことから、経費回収率は100%以上であり、健全経営となっています。しかしながら、下水道普及率は42.6%と低く、令和2年度に策定した「下水道事業経営戦略」に基づき、段階的に建設事業費を増加する予定であることから、水洗化勧奨行うなど収益確保に向けた取り組みを進めるなど、収支のバランスを考慮した財政運営を行い、持続可能な事業運営に努めてまいります。