経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%以上の収支黒字であり、②累積欠損金は生じていないが、依然として一般会計からの繰入金への依存度が高いため、令和5年2月使用分より実施する下水道使用料の改定及び更なる維持管理費用等の経費削減に向けての経営改善が必要である。③流動比率は、昨年度より約5%改善しているものの、平均値を下回っている主な要因は、流動資産の現金が少なく、流動負債の企業債償還金が多いことによる。④企業債残高対事業規模比率は、昨年度より増加しているものの、平均値を大幅に下回っている。これは、施設整備の進捗と使用料収益の微増によるものであり、企業債残高は類似団体と比較すると低い。⑤経費回収率は、微減となっており、平均値から鑑みても使用料収入で更新投資等に必要な経費が賄えていない状況が継続している。⑥汚水処理原価が類似団体と比較して低いのは、分流式下水道に要する経費(公費負担分)の算入によるところが大きい。⑦施設利用率対象の加茂浄化センター処理区域では、近年高齢化や人口減に伴う有収水量の減少傾向が著しく、今後の利用率は低下傾向が続くと考えられる。⑧水洗化率は、下水道施設整備への取組みと宅地開発地域の人口増加等により、少しずつではあるが年々上昇傾向にある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、H29年度に法適化したことにより、減価償却実績が無く低い値となっているが、経年により年々増加している。②管渠老朽化率・③管渠改善率は、類似団体平均値を下回る状況であるが、現在既に30年を超える施設も存続する中、施設等の長寿命化に向け、R元年度よりストックマネジメント計画に基づき、耐震診断・設備の回復・予防保全のための修繕や事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新事業を進めている。
全体総括
本市下水道事業については、施設整備状況や水洗化率等の現状を踏まえると、今後は、早期の整備完了の推進と施設の維持管理や老朽化・長寿命化等への取組、健全な事業経営が課題となる。下水道事業の財政状況は、類似団体との比較においては直ちに悪いという状況ではないが、合併市としての今後を考えた上でも、決して楽観できる状況ではない。地方公営企業法の適用により、経理内容の明確化や経営の継続性・安定性を目指し、経営戦略等を通しての経営改善が不可欠であり、安定した更なる収入確保のために、令和5年2月使用分より下水道使用料の改定を行い、公営企業の独立採算制の基本原則に基づく経営を目標に引き続き取り組んでいく。また、今後は滞納対策・有収水量増加に向けた取り組みも行っていくとともに、より一層の経費削減に努める方針である。