経営の健全性・効率性について
地方公営企業法の適用以前の比率は示していない。①経常収支比率は、類似団体及び全国平均値に近い状況にあるが、一般会計補助金に大きく依存しているため、自己財源である使用料の増収や維持管理費等の経費削減が課題となっている。③流動比率は、類似団体及び全国平均値を上回っており、流動負債に対する支払い能力は確保されているが、接続推進による収益向上や投資額の平準化など、将来を見据えた財政運営が必要である。⑤経費回収率は、類似団体及び全国平均を若干上回っており、おおむね良好であるが、今後も、接続促進による収益向上や汚水処理費の削減を図っていく必要がある。⑥汚水処理原価は、類似団体に比べやや高い状況にあるが、新規接続者の増や不明水対策により、有収水量は増加していく見込みである。これは、汚水処理量と有収水量に差があるためで、今後も、更なる経費削減と不明水対策が必要である⑦施設利用率は、類似団体と比べて若干低い状況となっているが、これは、計画区域に対し整備率が78.3%にとどまっていること及び水洗化率が伸び悩んでいることが要因となっているため、今後も、計画的に整備を進めるとともに接続促進を図る必要がある。⑧水洗化率についても、類似団体を下回っているため、戸別訪問や広報活動などを通じて、接続を促進し、水洗化率の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、法適用して間もないため、小さな数字となっているが、着実に老朽化は進んでいることから、将来負担を考慮した更新計画が必要である。②管渠老朽化率及び➂管渠改善率については、耐用年数を経過した管渠がないため、いずれも0%となっているが、初期の管渠は近い将来耐用年数を迎えるので、更新計画を策定し、改善をしていく必要がある。
全体総括
下水道事業は、施設整備に多額の費用を要する先行投資型の事業であるため、費用の回収には極めて長い年月を要することになる。このため、市民の重要なライフラインの一つである下水道事業を安定的に継続していくためには、一般会計からの一定の補助(基準内繰入)が不可欠である。また、計画区域には未整備の地域があることから、投資効率を考慮し、計画的に整備していくことが必要であること。さらに施設の老朽化は着実に進行しているため、ストックマネジメント計画に基づき効率的な更新・改築を進めていくことが重要である。