経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」については、類似団体の平均値108.04%を少し下回る98.87%となっており、100%に近い値となっているが、現行の使用料で賄えている経費は維持管理費と僅かな資本費のみであり、資本費の大半は、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況である。これを表しているのが「⑤経費回収率」であり、経費回収率は類似団体の平均値97.07%を大きく下回る49.15%となっている。これは使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であることを示している。よって、経費回収率100%に近付けるよう使用料の見直し及び汚水処理費の削減が必要である。「②累積欠損金比率」については、類似団体の平均値及び令和2年度を上回る21.05%となっている。これは使用料収入が少ないため、当年度純損失が生じているからである。「③流動比率」については、流動負債となる次年度の企業債元金償還額が多額であるため、流動比率は類似団体と比べ低くなっている。「④企業債残高対事業規模比率」については、工事等の財源として借入を行った企業債の残高が多額であることから、類似団体と比べ高くなっている。「⑥汚水処理原価」は類似団体の平均値に比べ低い数値となっている。「⑦施設利用率」及び「⑧水洗化率」については、類似団体の平均値より高い数値となっているが、さらなる向上に向けて取り組んでいく。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」については、類似団体の平均値25.66%より低い8.35%となっているが、今後も上昇していくことが見込まれる。「②管渠老朽化率」及び「③管渠改善率」については0であるが、建設後40年以上経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するため、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。また、供用開始から37年が経過した西条浄化センターにおいても、ストックマネジメント計画に基づき、順次改築工事を実施している。管渠について、今後、標準耐用年数に達し改築更新時期を迎える管渠が増加すると見込まれるため、施設の回復・予防保全のための修繕を実施するとともに、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
西条市の下水道事業は、経費回収率が49.15%と非常に低く、使用料で賄うべき経費を約半分しか賄えていない状況である。そのため、平成28年度から3年毎に、使用料改定を実施しており、今後も適正な水準に達するまで使用料改定を継続していくとともに、事業の見直し等による経費の削減を図り、経費回収率100%の達成に努めていく。また、流動比率及び企業債残高対事業規模比率の指標が、類似団体、全国平均と比較して著しく悪いのは、これまでの事業運営が、財源を企業債に過大に頼ってきたためであり、今後は、企業債の借入額を抑えた事業運営が必要である。これらを踏まえ、持続可能な下水道事業を目指し、経営改善に努めていく。