経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、③流動比率平均値を大幅に下回っており、使用料増収が最大の課題である。普及促進活動や下水道接続申請漏れ調査に取り組んでいるものの、一般会計からの繰入金頼みの経営状況といえる。⑧の水洗化率は高水準でるものの、有収水量、使用料単価等は伸び悩んでおり、原因の一つである有収率の低さを解消するための取り組みも進めているところ。④企業債残高は、元々多額である建設改良債償還金と併せ、平準化債や特別措置分の償還が進み改善される見込みである。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については、職員数の削減や施設の維持管理に包括的民間委託制度を導入するなど、支出減への経営努力を重ねているところであるが、営業費用の65%を占める委託料における人件費の高騰など、営業努力では補いきれない事案も発生しており、さらに今後は資材や電気料の高騰といった影響も懸念される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率に表れているとおり、施設の老朽化が確実に進んでおり、10年後には管渠の老朽化対策が本格化する見込み。対策として社会資本総合整備計画事業を活用し、策定済のストックマネジメント計画に基づき、管渠整備や処理場改築整備を実施している。老朽化も要因の一つと考えられる有収率の低さを解消するため、毎年汚水管渠内部のカメラ調査、および不明水調査を実施し、老朽化対策を講じている。また昨今の災害発生状況を鑑みるに、耐震化・耐水化の防災対策が課題となっていることから、現在調査を実施しているところある。今後はその結果を活用しての点検・調査、修繕・改築を進め、更なる施設管理の最適化を行い、公共水域の保全に努めていくこととする。
全体総括
前述したとおり、下水道事業の根幹である使用料収入については、高齢者世帯や単身者世帯の増加や節水器具の普及等により、水洗化率は順調に伸びてはいるものの、これ以上の水洗化促進は頭打ちが予想され、有収水量および使用料の更なる改善は困難である。また、施設の老朽化対策が本格化する見込みなので、資金面でも③流動比率の改善を急ぎ、留保資金の確保を図る必要がある。令和5年度には経営戦略を見直す予定でおり、使用料改定も視野に経営健全化に向けた取組を行っていく。