経営の健全性・効率性について
経常収支比率は前年度より経常費用が減少したため比率は向上したが、水道施設の多くが更新時期を迎えることから、今後は維持管理費の増加が見込まれる。累積欠損金比率については、予定していた更新工事を次年度に繰越したことから、累積欠損金は一時的に解消されたが、引続き経営改善に努めていく必要がある。流動比率については流動資産が減少しており、流動比率もほぼ横ばいとなっている。企業債残高対給水収益比率については企業債残高が減少しているため、比率も減少傾向であるが、必要な更新を先送りにしていないか検証していく。料金回収率および給水原価については、原水及び浄水費並びに減価償却費の減少に伴い経常費用が減少したため、料金回収率は上昇し、給水原価は低減した。昨年に引き続き特異な値とも考えられる数字が続いたが、今後は留意が必要である。施設利用率については適切な施設規模を検討していく必要がある。有収率は無収水量(漏水)が増加傾向にあり再び下落に転じたことから、計画的な老朽管の更新を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は老朽化した水道管及び施設の更新が進んでいないことから年々増加しており、必要な更新投資を先送りしている可能性があるため、計画的な更新を実施していく必要がある。管路経年化率については、喫緊の課題であった施設更新計画策定の調査で把握した法定耐用年数40年を超えた管路は、実に全体の3割を超過していることがわかり、更に10年後は6割を超えることもわかった。この事実を重く受け止めて、重要度および優先度を考慮した管路の更新をはじめ、本更新計画で示す事業を着実に実施していくことが求められる。
全体総括
水道施設の老朽化による更新や管路の耐震化を計画的に進めていかなければならないが、人口減少による給水収益の減少や企業債の償還により、資金残高が減少している状況にある。このような財源確保の見通しが厳しい中ではあるが、安全で安定した事業を継続するため、まずはより一層の経営改善に努めていく必要がある。