経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%以上であるが、経常収益約4.2億円に対して、繰入金が約2.2億円であり、うち約0.4億円が基準外繰入金である。②累積欠損金比率は、なし③流動比率は、昨年度より下がっているが、類似団体平均を上回っている。流動負債約2.1億円のうち、企業債償還金が約1.8億円を占めており、償還の財源としては、一般会計からの繰入金を充てている。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高が今後減少していくため、類似団体に近づいていく見込みである。⑤経費回収率は、汚水処理費を使用料収入で70%程度しか賄えていない。不足する分は、一般会計からの繰入金で補てんしている。⑥汚水処理原価は、類似団体より低いが、使用料単価より大きいため、経費削減等により減少させていく必要がある。⑦施設利用率は、6処理場により汚水処理を行っている。平均60%代であることから処理能力に対して余裕がある。⑧水洗化率は、70%代であり、今後も普及促進活動等により接続人口の向上に努める必要がある。今後の課題として、経費削減、使用料収入の確保により基準外繰入金を削減していくとともに、公共下水道への接続が可能な西方、大平地域の処理区域については、計画的に準備を進め、施設の最適化を図る必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、先に企業会計として運営していた類似団体に比べて低いが、今後、毎年増加傾向である。②管渠老朽化率は、平成元年供用開始のため、耐用年数を超えている管渠はない。今後、令和20年ころから耐用年数を超える管渠が出てくる。③管渠改善率は、老朽化による改善は行っておらず、他事業に伴う管渠移設工事等がある。令和元年度はなし。今後の課題として、公共下水道への接続ができない藤岡地域2処理区の維持管理の増大、更新費用、運営方針を検討する必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水事業は、平成元年より供用開始し、6処理区、約96kmの管渠整備を行ってきた。現在、整備は完了している。今後は、西方地域2地区、大平地域2地区の処理区を公共下水道へ接続を予定しているため、接続時期までは、大きな改修工事は行わず、維持していく必要がある。また、藤岡地域2処理区については、公共下水道まで距離があること、汚水処理手法が真空方式を採用していることから、公共下水道への接続はできない。今後の維持管理、運営方針が大きな課題である。