経営の健全性・効率性について
平成24年度から28年度にかけて実施した簡易水道統合整備事業等による借入金、減価償却費の増加に伴い、経常収支比率が100%を下回る状態が続いている。簡易水道統合整備事業の影響は企業債残高の増加に顕著であり、起債償還の増加により流動比率・料金回収率が減少傾向、給水原価については増加傾向となった。また有収率が低い状態で推移していることも、経営の健全性・効率性に悪影響を及ぼしている。累積欠損金について、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響もあり、水道使用量の減少等による営業収益の減と、有収率等によって示されるとおり効率性が低い水準にあることから増加が続いている。効率性については、簡易水道統合整備事業完了により施設利用率が改善し現在は60%前後で推移しているが、使用水量が減少傾向にあることから、次回更新時には施設規模を検討する必要がある。また、有収率についても類似団体と比べて低い水準にあることから、今後も継続した漏水調査及び、施設更新が必要である。
老朽化の状況について
昭和50年代の拡張事業により整備された管路の老朽化が始まっており、管路経年化率が上昇傾向にある。今後も進行していく老朽化に対応するため、施設更新を継続しなければならない。令和3年度は類似団体平均値を超える更新率となったが、今後も経営の健全性や効率性を加味しながら投資的費用を増加する必要がある。
全体総括
経営面について、簡易水道統合整備事業や災害復旧事業、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、慢性的な人口減少、水道使用量の減少により、経営状況は厳しい状態が続いており、類似団体の平均値の差に見られるとおり改善が急務となっている。施設面について、類似団体の平均値と比して企業債残高対給水収益比率が大きく上回っているが、水道水の安定供給や有収率の改善に向け、施設更新は継続していかなければならないことから、厳しい経営状況の中、起債の抑制と施設更新の両立を図らなければならない。令和2年度には経営戦略を策定し、予測値と実績値の比較を行いながら経営改善について対策を検討しているが、料金改定を含めた対策を早期に具体化する必要がある。