1.資産・負債の状況
一般会計等においては、資産総額が前年度末から512百万円(0.8%)の増額となった。公共施設、町道、公園等の有形固定資産の減価償却が進んだ一方で、普通交付税の追加交付により基金へ積み立てたことによる流動資産の増額が主な要因となる。全体会計では資産総額が前年度末から663百万円(△0.7%)の減少となり、一般会計の増加額512百万円を差し引いた額は△1,175百万円である。これは、水道・下水道事業会計における有形固定資産の減価償却が進んだことが主な要因となる。連結会計では、資産総額が前年度末から873百万円(△0.9%)の減少となり、全体会計の減少額663百万円を差し引いた額は△210百万円である。猪名川上流広域ごみ処理組合の有形固定資産の減価償却が進んだことが主な要因となる。
2.行政コストの状況
一般会計において純行政コストは11,421百万円となり、前年度比2,127百万円(△15.7%)の減少となった。令和2年度に実施した特別定額給付金やプレミアム付商品券事業が完了し、移転費用の補助金等が2,370百万円(△50.9%)減少したことが主な要因となります。全体会計では、国民健康保険や介護保険の給付費等を補助金等に計上しているため、移転費用が一般会計に比べて6,278百万円増加している。連結会計では、兵庫県後期高齢者医療広域連合における療養給付費などを補助金等に計上しているため、移転費用が全体会計に比べて3,169百万円増加している。また、業務費用が全体会計に比べて787百万円増加しているのは、猪名川上流広域ごみ処理施設組合に係る物件費等が主な要因である。
3.純資産変動の状況
一般会計等においては、税収等の財源(10,517百万円)が純行政コスト(11,421百万円)を下回って、本年度差額は904百万円減額となった一方で、産業拠点地区に係る有形固定資産の移管を受けたことから無償所管換等が1,375百万円増額となり、純資産残高は475百万円の増額となった。なお、今後企業立地により税収の増加を見込んでいるものの、減価償却が占める物件費の割合が大きいことから、公共施設の統廃合や民間移譲を含め、資産の減少を図ることが必要である。全体会計の純資産残高は、66,292百万円となっており、一般会計等に比べて343百万円増加している。その内、税収等は、国民健康保険税や介護保険料が含まれることにより、一般会計等と比べて2,717百万円増加している。また、前年度純資産残高と比較して343百万円増額している。連結の純資産残高は、67,689百万円となっており、全体会計に比べて1,397百万円増加している。その内、税収等は、兵庫県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が含まれるため、全体会計に比べて1,813百万円増加している。
4.資金収支の状況
一般会計等においては、中学校再編に伴う新設中学校に係る校舎等改修工事や大野アルプスランドのトイレ棟改築工事及び炊事場棟新築工事が単独事業として実施したことから、投資活動収入が前年度から288百万円減額し、投資活動収支は△683百万円となりました。また、財務活動収支は地方債発行収入が地方債の償還額を上回り141百万円となり、本年度末資金残高は前年度から66百万円増加し、438百万円となった。施設の大規模修繕や長寿命化対策を含む公共施設等整備費支出に対し、基金の取り崩しが多くなっているため、充当率の高い地方債の活用等により財務活動収支における収支の均衡に努める。全体会計における財務活動収支では、一般会計を除いた地方債の償還額(下水道会計等487百万円)が地方債発行収入を上回ることから、最終的な収支は△314百万円となっている連結会計における財務活動収支では、主に猪名川上流広域ごみ処理施設の建設等に係る地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから収支は△473百万円となっている。
1.資産の状況
住民一人当たりの資産額が類似団体平均値を大きく上回っており、歳入額対資産比率も類似団体平均値を大きく上回っていることから、本町の保有する公共施設や社会インフラ等の資産は類似団体と比較し、相対的に多い。資産が多い要因として考えられるのは、90年代初頭に町内の人口増加に合わせて、事業用資産を多数取得したことが挙げられる。人口が減少傾向にある中、公共施設の必要性を個々に見直し、大規模修繕や長寿命化対策といった資産に係る費用の「選択と集中」を図ることが必要である。
2.資産と負債の比率
将来世代負担比率は、類似団体と比較して低い数値である。これは、昭和50年~平成5年ごろに大規模ニュータウンの開発のため、インフラ整備(道路、下水、小中学校など)を集中的に行い、その際に起債した地方債の償還が終わりつつあることを示している。しかし、これら資産の大規模修繕や長寿命化対策に係る地方債の借り入れが多くなっていることから、公共施設の統廃合などにより資産の減少を図る必要がある。
3.行政コストの状況
住民一人当たりの行政コストは、町単独で消防本部を運営しているため、類似団体と比較して行政コストに占める人件費の割合が大きいことから、住民一人当たりの行政コストは類似団体平均値を上回っている。
4.負債の状況
住民一人当たりの負債額が類似団体平均より大きく下回っている要因は、負債の大部分を占める地方債について、本町は特例地方債である臨時財政対策債以外の地方債発行を抑制してきたことによるものである。なお、負債額は中学校再編に伴う校舎等改修事業等に係る借り入れを実施したことにより、前年度から増加している。今後、公共施設の大規模修繕や長寿命化対策に係る地方債の借入が増加しているため、負債を減少させるために計画的な修繕が必要となる。
5.受益者負担の状況
令和3年度の受益者負担比率は、経常費用が減額した一方で、経常収益が増額したため、類似団体平均値を上回りました。経常収益の増額の主な要因は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために令和2年度は公共施設を休館していた影響で使用料・手数料が例年より減少していましたが、令和3年度は例年ベースの収入額に戻ったことと、学校給食費の公会計化によるものです。現在の使用料・手数料の徴収実態から受益者負担を適宜見直すことや、財産の効果的な活用を行い、経常収益の増加に努める。