経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度に引き続き100%を上回っていることから、黒字を維持しており、累積欠損金も発生していませんので、比較的経営の安定性は保たれています。②累積欠損金比率は、欠損金を計上していません。③流動比率は、類似団体と比較すると低い数値となっています。一般的に、100%以上であることが必要ですが、現状では保有現金が少ない状況です。流動比率が低い要因として、企業債償還金が多額であることが主な要因です。償還時には、一時借入れをするなど資金繰りが厳しい状況となっています。④企業債残高対事業規模比率は、使用料収入に対する企業債残高の割合でありますが、老朽化した施設の更新等が行われていることから、増加傾向にあります。⑤経費回収率は、100%を下回っており、汚水処理に要する費用を使用料で賄えていないことを表しています。今後の課題として、使用料料金改定など適正な使用料収入の確保が課題となっています。⑥汚水処理原価は、全国平均を上回っていますが、類似団体平均よりは下回っています。⑦施設利用率は、74.05%でほぼ横ばいの状態であり、類似団体平均や全国平均よりも高い数値であるため、施設が効率的に利用されているといえます。⑧水洗化率は、昨年度と比較すると減少していますが、人口減少による影響と考えられます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、法定耐用年数に近い資産が少ないことにより、類似団体平均や全国平均に比べて数値が低くなっています。②管渠老朽化率は、法定耐用年数を超えた汚水管は無く、雨水管のみのため類似団体に比べて低い数値となっています。しかし、供用開始から30年が経過しているポンプ場や処理場施設については、施設が老朽化してきている状況にあることから、平成29年度に「下水道ストックマネジメント計画」を策定し、年次的に施設の更新工事を実施しています。
全体総括
令和2年度は、財光寺往還地区の下水道整備、幹線管渠の耐震化工事を実施しました。また、「下水道ストックマネジメント計画」により、ポンプ場、処理場施設の長寿命化対策工事を実施しました。一方、下水道事業の経営状況は非常に厳しい状況が続いております。経常収支比率は100%以上ではありますが、費用を下水道使用料だけでは賄えず、一般会計からの繰入金に依存している状況となっています。今後は、計画・予防的な維持管理を行いつつ、使用料料金改定の検討など経営の健全化を図る必要があります。将来にわたりサービスの提供を安定的に継続することが可能となるよう、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」により、引き続き経営基盤の強化と財政マネジメント向上に取り組んでまいります。