経営の健全性・効率性について
平成26年度以降経常収支率は100%いる。これは面的整備が完了し、企業債利子償還金が減少していることと、一般家庭の接続増による使用料収入が増加していることが主な要因となっている。また、費用の効率性を示す汚水処理原価が類似団体平均より低く、それに伴い経費回収率も近年は1位な状況である。しかしながら、令和2年度末の企業債残高が約193億円であることから、企業債残高対事業規模比率は全国平均よりも劣位な状況であり、更なる経営改善を図っていく必要がある。ただし、流動比率及び企業債残高対事業規模比率については既に修繕改築を主流に事業を行っていく段階にあるため、企業債の償還が進むにつれて改善していく見込みとなっている。なお、令和2年度に流動比率が下がっているが、これは令和元年度において工事代金の一部(約3億円)の支払いが翌年度になり現金資産が増えたことや、工事における前払金が高額であったことから分子である流動資産の額が増加し、一時的に流動比率が押し上げられたが、令和2年度においては大きな未払い等がなかったためである。
老朽化の状況について
平成2年に下水道の供用を開始しており、現時点では管渠老朽化率は0%となっている。安定した下水道事業を継続していくため、現在、管渠をはじめとした施設の老朽化対策や耐震化対策を行っている。また、有形固定資産減価償却率が年々増加しているが、令和2年に管路・施設において作成したストックマネジメント計画を基に、5年ごとに老朽化対策を行っていく。
全体総括
面的整備は完了し、今後は維持管理及び施設の老朽化・耐震化対策が主な事業となっていく。現在、使用者数は増加し、経営状況も改善傾向にあるが、施設の老朽化・耐震化対策に多額の事業費用を要している。また、現在は人口が増加しているが、いずれ人口が減少し使用料収入が減少していくことが予想される。長寿命化計画や経営戦略に基づき、施設の長寿命化を行い、更なる経費削減に努め、合理的な事業運営を推進していくことが必要だと考えている。