経営の健全性・効率性について
令和2年度に公営企業会計に移行し、初めてとなる決算において、「①経常収支比率」は102.12%となっている。しかし、現行の使用料で賄えている経費は維持管理費と僅かな企業債利息のみであり、企業債利息の大半は、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況である。これを表しているのが「⑤経費回収率」であり、経費回収率は類似団体の平均値94.97%を大きく下回る48.67%となっている。これは使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であることを示している。よって、経費回収率100%に近付けるよう使用料の見直し及び汚水処理費の削減が必要である。「③流動比率」については、流動負債となる次年度の企業債元金償還額が多額であるため、流動比率は類似団体と比べ低くなっている。「④企業債残高対事業規模比率」については、工事等の財源として借入を行った企業債の残高が多額であることから、類似団体と比べ高くなっている。「⑥汚水処理原価」は類似団体の平均値に比べ低い数値となっている。「⑦施設利用率」及び「⑧水洗化率」については、類似団体の平均値より高い数値となっているが、さらなる向上に向けて取り組んでいく。
老朽化の状況について
企業会計移行初年度は、減価償却累計額が0から始まっているため、「①有形固定資産減価償却率」は類似団体の平均値23.79%に比べて4.23%と低い値になっている。「②管渠老朽化率」及び「③管渠改善率」については0であるが、建設後40年以上経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するため、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。また、供用開始から36年が経過した西条浄化センターにおいても、ストックマネジメント計画に基づき、順次改築工事を実施している。管渠について、今後、標準耐用年数に達し改築更新時期を迎える管渠が増加すると見込まれるため、施設の回復・予防保全のための修繕を実施するとともに、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
西条市の下水道事業は、経費回収率が48.67%と非常に低く、使用料で賄うべき経費を約半分しか使用料で賄えていない状況である。そのため、経費回収率100%に近付けるよう使用料の見直しや維持管理費などの経費の削減に努めていく必要がある。老朽化対策については、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。整備や管理に係る費用についても、費用対効果を検証しながら、平準化を図りつつ計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。これらを踏まえ、持続可能な下水道事業を目指し、経営改善に努めていく。