経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、料金収入が毎年微減しているが、地方債償還金の減少額が前年に比べ大きいため比率が高くなっている。但し、令和元年度は、打ち切り決算により収入が少なかったため、前々年度とほぼ同じとなっている。企業債残高対事業規模比率については毎年減少しているが、令和2年度まで終末処理場長寿命化事業を実施しており、その後についてもストックマネジメント事業に伴う新規起債が予定されているため、これまで同様の減少は見込めない。経費回収率は60%未満という低い数値となっており、汚水処理原価は類似団体の平均値と比較して高額である。主な原因として収入面では、下水道使用料が平成19年の改定以降据え置きであること、費用面では、維持管理費が横ばい状態であることが挙げられる。また、今年度が昨年度よりやや下がっているのは、打ち切り決算も理由の一つと考えられる。施設利用率については、類似団体平均を超えているものの、30%程度の余力がある状態である。また、水洗化率は類似団体の平均値を上回るが、全国平均には及ばない。今後もさらなる啓発が必要である。市街地の公共下水道整備は概ね終了しており、今後大幅な供用開始区域の拡大は見込まれないため、これら経営指標の数値改善は水洗化率の更なる向上、効率的な経営による費用の抑制と同時に、適切な使用料の設定も必要となる。令和2年度からの法適化により、さらなる問題の洗い出しとそれらへの対応を図る。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は平成10年の供用開始からの経過年数が22年であり、耐用年数が50年の管渠については、老朽化対策が必要な段階には至っていないため、管渠改善率は0%である。一方、処理場の施設・設備については耐用年数が概ね20年であり、実際に浄化センターの主要部分について経年的劣化、それによる処理機能の低下が認められる。このため、事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小限化を図って平成27年度から令和2年度まで長寿命化事業を実施しており、その後はストックマネジメント事業を実施することで、施設の更新等を随時行っていく予定である。
全体総括
供用開始からの年数としては長い方ではないが、処理場施設設備については既に長寿命化、更新等が必要な段階に入っており、それらの対策を進めている。将来的な管渠の老朽化も見据えて、事業を進めていかなければならない。具体的には以下のような方策により、経費回収率・収益的収支比率の増加を図る。①長寿命化のための設備更新等における高効率機器の導入をはじめとする、経費の削減による汚水処理原価の抑制②接続意識の高い地域を優先した効率的な整備と、未接続世帯への下水道普及促進による水洗化率の向上③令和2年度からの地方公営企業法の適用により財政状況を明確にした上での、適正な使用料の検討